研究概要 |
IMT-1抗原は胸腺特異的細胞表面・抗原であり、CD4^-CD8^-の分化段階後期からCD4^+CD8^+の分化段階までの胸腺細胞の細胞表面に発現している(Kishi et al.,J.Immunol.155:568-577,1995)。本研究課題において、まず、CD4^+CD8^+胸腺細胞の細胞表面に発現しているIMT-1抗原の発現制御に関し、特にT細胞抗原受容体(TCR)からのシグナルに焦点をあて解析した。in vitroおよびTCRトランスジェニックマウスを用いた実験によりIMT-1抗原のCD4^+CD8^+胸腺細胞における発現がTCRからのポジティブ選択あるいはネガティブ選択を誘導するシグナルにより抑制されることが明らかとなった(Kishi et al.,Int.Immunol.,10:951-960,1998)。次に、CD4^-CD8^-胸腺細胞におけるIMT-1抗原の発現制御をpre-TCRとの関係で解析した。その結果、IMT-1とpre-TCRの発現が胎仔胸腺の発達過程において同じ胎令で発現し始めること、また、CD4^-CD8^-の段階で分化が止まっているRAG2欠損マウスの胸腺細胞を抗CD3抗体で刺激することによりIMT-1とpre-TCRが同じ動態でその発現が抑制されることを示した(Tong et al.,Immunol.,96:48-56,1999)。以上の結果よりIMT-1の発現は胸腺細胞の分化過程においてpre-TCRおよびTCRのシグナルにより制御されることが明らかとなった。
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