研究課題/領域番号 |
09670358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹内 亨 (竹内 享) 大阪大学, 医学部, 講師 (00188161)
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研究分担者 |
竹下 達也 大阪大学, 医学部, 助教授 (20150310)
森本 兼曩 大阪大学, 医学部, 教授 (20143414)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 活性酸素 / 酸化的DNA損傷 / 遺伝子変異 / 発がん / hprt |
研究概要 |
酸素を消費して生存している好気性生物においては、常に活性酸素が体内で発生しており、この活性酸素が生体高分子、特にDNAに損傷を誘発し、がんを引き起こすと考えられている。しかし噛乳類細胞で、どの程度酸化的DNA損傷が誘発されれば、どの様な遺伝子変異がどの程度増加するのかは全く判っていない。 本研究では、変異原検出に広く用いられているハムスター由来V79細胞と、光照射によりOHラジカルを産生する光増感物質(NP-III)を用い、酸化的DNA損傷を誘発し、代表的な酸化的DNA損傷である8ヒドロキシグアニン(80HdG)を指標に、80HdG量とヒポキサンチン・グアニン・フォスフォリボシルトランスフェラーゼ(hprt)遺伝子に生じた変異頻度の関連を定量的に解析した。更にhprt遺伝子変異細胞をクローニングし、変異スペクトルの解析も行った。NP-IIIとUVA照射により80HdGは約15-20倍増加したが、hprt遺伝子の変異出現頻度は非処理群の約3倍であった。hprt変異株からDNA並びにRNAを採取し、ゲノムDNA並びにcDNAに生じたhprt遺伝子変異スペクトルを解析した。その結果、2塩基置換やdeletionの発生頻度が高く、またT:Aの位置に変異が起こり易い傾向を認めた。これらはこれまで報告されている80HdGが誘発するG:CからT:Aへの変異とは異なるものであった。80HdGが多量に誘発されたにも関わらず、G:C→T:Aへの変異が少なかったことは、80HdGがV79では迅速に修復・除去されたことから説明し得た。T:Aでの変異を誘発するDNA損傷については今後同定する必要がある。 本研究により活性酸素により啼乳類細胞でDNA損傷が誘発されるとともに遺伝子変異が誘発されることが明らかとなった。しかし誘発損傷量に比べ変異出現頻度は低く、活性酸素による発がん機構を解明するためには、遺伝子変異誘発に重要な損傷の同定並びに定量的解析とともに修復特性も検討する必要があることが判った。
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