研究概要 |
平成9年11月から平成10年1月末にかけ,千葉県のT町およびC村の2地区で車載型らせんCTによる胸部1次検診を施行した.T地区では,従来の結核住民検診・肺癌検診と同様,検診機関-役場-病院のネットワークにより精密検査までを行い,C地区では従来のネットワークの中で大学病院呼吸器内科医および地元基幹病院の呼吸器専門医が主体となって精検を施行した.受検者は,T地区782名(男333,女449),C地区765名(男463,女302)であり,CT読影での要精検数(要精検率)は各々33名(4.2%),40名(5.6%)であった.肺癌はT地区で1名,C地区で5名発見され,T地区の1名,C地区の3名が肺切除術を受けた.C地区では要精検例全例が最終検査を終え,良性腫瘍,炎症痕,炎症性疾患などの診断が下されたが,T地区では6名で最終情報が得られなかった.すなわち,検診の精度を上げるには検診システムのネットワークをさらに綿密にする必要があることが示された. これらの検診の経験から,らせんCTによる検診でのCT読影所見記載用紙を作成することができた.われわれはその後の読影でその用紙を使用してきたが特に支障はなかった. この検診でのCT画像読影は,CRTにてシネモードで行ってきたが,経年集団の読影では過年度画像との比較読影が必要になる.われわれは.NTTヒューマンインターフェイスと共同でCRT上での比較読影装置の開発を思考してきたが,そのソフトが完成し,平成10年後半のC地区でのらせんCT検診の読影で試用してみた.これは,従来の読影コンソール(日立DC-1)の画像データを書式変換してパソコンへインストールし,CRT上に当該年度と過年度の両画像をシネモードで見られるようにしたものである.今回の試用経験では極めて有用で,今後のCT読影の精度向上に役立つものと確信した.
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