研究概要 |
過去8年間にわたる縦断的研究の結果明らかとなったのは以下の諸点である。 すなわち、1.91年度から95年度にかけて、全老年者の内ADLが自立している者の割合は年々増加している(Lancet,1996)。2.老年者の24時間血圧に関する追跡調査から、起床時に血圧が上昇するいわゆるmorning surgeの実態を明らかにした(Lancet,1996)。3.75歳以上の後期老年者でも運動が認知行動機能を改善する(J Am Geriatr Soc,1996)4.老年者における血圧値と3年後の認知機能とのあいだにはJ-Curve関係が成立する(J Am Geriatr Soc,1997)。5.75歳以上の後期高齢者では血清総コレステロール値が高いほど認知機能が優れている(J Am Geriatr Soc,1997)。6.90年から96年にかけて、香北町の国民健康保険における老人一人当りの年間医療費は、当初県平均を上回っていたが、3年後から県平均をしたまわり、医療費の伸びを抑制している(J Am Geriatr Soc,1998)。7.姿勢反射と歩行の安定度を評価するUp&Goテストは、将来の日常生活自立度の予測因子となり(J Am Geriatr Soc,1999)、転倒の危険を予知する評価でもある(J Am Geriatr Soc,1999)。8.約8年間の追跡から、高齢者における日常生活自立度は将来の死亡に対する独立した危険因子である(Lancet,1999)。9.家庭血圧と将来の死亡とのあいだには男性においてはJ-curve現象をみとめる(J Am Geriatr Soc,1999)などの所見を得た。
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