研究課題/領域番号 |
09670463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
飯塚 邦彦 群馬大学, 医学部, 助手 (00272237)
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研究分担者 |
土橋 邦生 群馬大学, 医学部, 助手 (00241894)
岡山 吉道 群馬大学, 医学部, 助手 (80292605)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | airway smooth muscle / Ca^<2+>release / IP_3 / ryanodine / Ca^<2+>sensitization / Rho / ROCK / protein kinase C / Y-27632 / Rho kinase / 気道平滑収縮 / Ca^<2+>感受性増強効果 / rho kinase / GF 109203X / 気道平滑筋 / Ca^<2+> sensitization / サイトカイン / 筋小胞体 / cyclic ADP ribose / NAADP |
研究概要 |
ヒト気管支平滑筋をマクロファージあるいは肺肥満細胞の培養上清共存下で組織培養したが、平滑筋のviabilityに問題があり成功しなかった。TNFαトランスジェニックマウスの卵白アルブミン感作モデルも検討したが、B1/6をバックグラウンドとしたためか、BALB/c系マウスで認められる抗原点鼻後の喘息発作様の呼吸は認められなかった。予備的検討をおこなっていた気道平滑筋の収縮機構についてヒト気管支平滑筋及びウサギ気管筋を用いて解析を進めた。その結果、(1)ヒト気管支及びウサギ気管筋ではムスカリン受容体刺激による筋小胞体からのCa^<2+>放出機構はIP_3を二次伝達物質としてryanodineにも共通して反応する単一コンパートメントで説明できること、新規Ca^<2+>2放出物質であるcyclic ADP-ribose(cADPR)とnicotinate adenine dinucleotide phosphate(NAADP)は少なくとも収縮には関与しないことを明らかにし、J.Physiol.(Lond.)に報告した。(2)ヒト気管支及びウサギ気管筋においてCa^<2+>感受性増強効果がその収縮維持に必須であることをROCK阻害剤(Y-27632)を用いて証明し、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.に発表した。さらに、Ca^<2+>感受性増強効果の機構としてRho/ROCK系とprotein kinase C(PKC)の相対的関係は不明であったが、我々はY-27632とPKC阻害剤GF 109203Xを前処置することにより気道平滑筋ではRho/ROCK系が主要経路でPKCは収縮開始時に部分的にのみ関与することを明らかにした。加えてROCK系は酵素学的にはミオシン軽鎖をmyosin light chain kinase(MLCK)と同様に燐酸化するが、気道平滑筋組織内ではこの機構は重要ではないことをミオシン軽鎖燐酸化ニ重調節機構の分離実験で示した。すなわち、ATP freeのrigor溶液中でミオシン脱燐酸化酵素を不可逆的に不活化したのち、ATP惹起性収縮の速度をY-27632またはwortmannin(MLCK阻害剤)存在下、非存在下で比較したところROCKによるミオシン軽鎖の直接作用は否定的であった。以上の成績はBr.J.Pharmacol.に発表した。また、モルモットin vivoにおいてY-27632の吸入投与はacethylcholine吸入や抗原による気道抵抗の上昇を抑制し、その効果は少なくとも3時間以上であることも明らかにした。ただしY-27632の弛緩作用はsalbutamolよりも約100倍弱く第一選択の気管支拡張薬としてはこのままでは不十分である(投稿中)。しかしY-27632は種々の炎症細胞や線維芽細胞の遊走を抑えるため、ROCK系阻害剤の吸入投与は直接の気道拡張作用に加え、喘息や肺線維症でみられる呼吸器remodelingを抑制する可能性がある。このように本研究により気道平滑筋の収縮機構が分子レベルではじめて明らかとなったが、in vitro喘息モデルの作製は今後の課題である。
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