研究概要 |
1)人好酸球細胞株EoL-1での結果 TNF誘導アポトーシスの機構をEoL-1にて検討したところ、TNFはEoL-1にアポトーシスを誘導するが、IFNγ処理にてその誘導が抑制された。TNFには分子量55と75kDaの2種類のTNF受容体(p55、p75)があり、FACS解析によりIFNγ処理にてp55の発現に変化はないが、p75の発現が上昇することを確認した。p55およびp75特異的阻害抗体を使用した阻害実験からdeath domainを持つp55からのシグナルは、IFNγ処理の有無に関わらずアポトーシスを誘導しうるが、IFN-γの処置によりTNFRII(p75)の発現が上昇し、TNFのシグナルがTNFRIからTNFRIIを介して細胞内にはいるように変換し、アポトーシスが誘導されなくなることを示し、Exp.Hematol(文献1)に発表した。 2)ヒト末梢血好酸球においても、p55,p75とも細胞表面に発現されてた。EoL-1と異なり、TNF惹起アポトーシスはIFN-γ処理で阻害できなかった。GM-CSFと、IFN-γとの同時処理にてアポトーシス誘導を阻害できたので、今後はGM-CSFとIFN-γの同時処理によるp55,p75の発現の変化を検討する。 我々は低分子量G蛋白質Rho/ROCK系が、ミオシン脱リン酸化酵素の抑制を介してミオシンのリン酸化を高レベルに維持すること、さらにRho/ROCK系阻害剤Y-27632は、ムスカリン受容体刺激による気管平滑筋の収縮を弛緩させることを発表した。(文献2)ミオシンは、細胞骨格に作用し、細胞の変形、遊走に関係しているので、Rho/ROCK系阻害剤Y-27632の人末梢血好酸球にたいする作用を検討したところ、遊走を特異的に抑制することを見いだし、好酸球におけるRho-ROCK系の細胞遊走にたいする役割についても検討できた。
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