研究概要 |
一般住民、血液透析患者および特殊浴場女性従業員におけるG型肝炎ウイルス(HGV)の感染を、HGVの表面マーカーであるE2抗体およびHGVRNAで検討した。いずれかのマーカーが陽性であったHGV感染例は、一般住民298例中、10.7%、血液透析患者225例中、10.7%、特殊浴場女性従業員234例中、24.8%であった(Dig Dis Sci 45,2000、Dig Dis Sci 44,1999)。HGVの持続感染率(キャリア化率)は21.7%で、C型肝炎ウイルス(HCV)の83.2%より低率で、B型肝炎ウイルス(HBV)の5.3%より高率であった(Dig Dis Sci 45,2000)。透析患者におけるHGVRNA陽性率は輸血回数だけでなく透析期間とも関連しており、継続調査から輸血歴もなくHGVに感染し、キャリア化した例もみられた(Dig Dis Sci 43,1998)。特殊浴場女性従業員でのHGV感染率は一般住民女性より高率であり、就業期間と正の相関を示すことから、HGV感染は性感染症の一つであると考えられた(日性感染症誌9,1998、Dig Dis Sci 44,1999)。また、HGVRNA陽性例の65.1%はHCVRNAも陽性であったことから(Dig Dis Sci 43,1998)、HGVの感染経路はHCVと類似しているものと推測された。C型慢性肝疾患患者247例におけるHGVRNA陽性率は全体では8.9%で、慢性非活動性肝炎では7.7%、慢性活動性肝炎では10.6%、肝硬変では7.7%、肝癌では8.2%であった。HGVの重複感染は肝臓病の進行と関連はなく、また、C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法の効果にも影響を及ぼさなかった(Dig Dis Sci 44,1999)。
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