研究課題/領域番号 |
09670482
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内科学一般
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
江口 勝美 長崎大学, 医学部, 教授 (30128160)
|
研究分担者 |
河部 庸次郎 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (50244059)
中村 龍文 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (00198219)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | ヒトT細胞白血病ウイルス / シェーグレン症候群 / アポトーシス / Tax蛋白 / NF-_KB / HTLV-I関連脊髄症 / FK506 / 活性化誘導型細胞死 / アポト-シス / NF-κB / シェ-グレン症候群 / NF-kB / カスペース / マトリックスメタロプロテアーゼ |
研究概要 |
私たちは、シェーグレン症候群(SS)患者では、疫学的にHTLV-I感染者の相対危険度が3倍で、疾患寄与率は18%であることを明らかにして、HTLV-I感染がSSの一病因であることを提唱した。今回、両者の因果関係を更に明らかにし、その病態解明と治療法の開発を検討した。 (1)HTLV-I感染が原因とされるHTLV-I関連脊髄症患者は、60%にSSを合併した。(2)SSの小唾液腺組織では、TUNEL法で腺房細胞と導管上皮細胞にアポトーシス像が検出された。免疫組織化学法で、Fasは腺房細胞、導管上皮細胞、浸潤リンパ球に発現し、Fasリガンドは腺房上皮細胞と浸潤リンパ球に発現していた。以上より、腺房細胞や導管上皮細胞のアポトーシスに『自殺』あるいは『兄弟殺し』でFas/Fasリガンド系が関与していることが示唆された。一方、浸潤リンパ球では、CD40、Bcl-2、Bcl-Xが多数のリンパ球に、CD40LとBaxは少数のリンパ球にのみ発現が見られ、CD40とBcl-2、Bcl-Xが同一リンパ球に共に発現し、アポトーシス像は少なかった。 この結果より、浸潤リンパ球はアポトーシス抵抗性になっていることが示唆された。しかし、この結果は、抗HTLV-1抗体陰性と陽性SS患者群で差異を認めなかった。(3)HTLV-I Tax蛋白の抗アポトーシス作用を検討した。Jurkat細胞へTax cDNAを導入したJPX-9細胞を使用した。このJPX-9細胞はCdCl_2で処理すると、Tax蛋白を増加させ、NF_<-k>Bの活性化が誘導された。JPX-9細胞はNF_<-k>B阻害剤でアポトーシスが誘導されるが、CdCl_2で前処理するとNF_<-k>B阻害剤によるカスペース活性化及びアポトーシスが顕著に抑制された。転写因子NF_<-k>Bはカスペースを介するアポトーシスを調節している。すなわち、NF_<-k>B活性の減弱はアポトーシス促進に、NF_<-k>B活性の亢進はアポトーシス抵抗性に働いている。HTLV-I感染細胞は、Tax蛋白によるNF_<-k>B活性化が強く誘導され、アポトーシス抵抗性となる。この結果、感染細胞の増殖やサイトカイン産生が増強され、HTLV-I感染によりSSをはじめ、自己免疫疾患が発症することが示唆された。(4)治療については、免疫抑制剤FK506は活性化誘導型細胞死を増強し、ステロイドの作用を増強させることを分子レベルで明らかにした。
|