研究概要 |
1. 可溶性VCAM-1の細胞内シグナル伝達機構を検討し以下の結果を得た。 1) IL-2プロモーター領域の主な転写因子の結合に可溶性VCAM-1がどのように作用するかゲルシフト法にて検討した結果、可溶性VCAM-1はAP-1,NF-AT,Oct 1の結合を抑制したがNF-kBの結合は抑制しなかった。 2) 可溶性VCAM-1はCalmodulin dependent kinase II特異的基質のリン酸化を誘導したが、FAKのリン酸化には影響しなかった。 3) 可溶性VCAM-1による遊走能にはRho,Protein kinaseC,Calmodulin dependent kinase IIの活性化が必要であった。 2. 可溶性VCAM-1の新たな機能に関して以下の知見を得た。 1) リウマチ患者関節液では可溶性VCAM-1の抑制作用は主にCD45ROT細胞に作用した。 2) 可溶性VCAM-1はIL-2依存性T細胞株,リウマチ患者関節液T細胞,Jurkat細胞に対して遊走能を示した。 3. 変異型可溶性VCAM-1としてVLA-4結合部位を2つ有する従来型にIgGFcを融合させたdimer型を作成した。この変異型の作用については現在検討中である。 今後、さらに可溶性VCAM-1のMAPキナーゼファミリーへの作用を明らかにすることにより、可溶性VCAM-1の抑制作用とcyclosporine A やFk506の抑制作用の異同を明らかにしていきたい。
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