研究概要 |
SENIEUR protocol(Mech Ageing Dev 1984 ; 28 : 47-55)に合致した免疫学的に正常な高齢者の末梢血を採取し、ナチュラルキラー(NK)細胞活性(Lytic units, LU)とリンパ球サブセット(CD3+, CD4+, CD8+, CD25+, CD56+, CD3+HLADR+, CD3+CD56+, NK[CD3CD56+]細胞)を測定した。対象高齢者の選定基準としては、上記の他にWorld Health Organization(WHO)のperformance status(PS)が2あるいは3で、informed consentが得られたものとした。NK活性は、以下の方法で測定ごとの誤差を最小限にした。被験者の測定をする時は、必ず同一正常者のLUも同時に測定し、測定毎に同一正常者のLUに対する被験者のLU比(corrected LU, CLU)を算出した。対象の選択基準に合致し、NK細胞活性(CLU)を決定できた者は108名であった(男25例、女83例、81±8歳〔63-99〕)。 これら108例の経過をprospectiveに観察し、免疫学的パラメーターと感染症の発生との関連を調べた結果、CLU低値、年齢75歳以上、PS3、血清アルブミン値3.5g/dl未満の対象者は、感染症に罹患し易かった。多変量解析の結果、CLU低値(NK細胞活性低値)は、感染症罹患に関連した独立した因子であることが示された。
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