研究概要 |
6種類の純系マウスにHBV-HBcAgで免疫刺激を行った際は、すべてのマウスに早期より(2週)、高い抗体産生が見られたのに対し、HCVコア抗原は、きわめて免疫原性が弱く、1種類のマウス(B10M)にのみ、良好な抗体産生が見られたものの、他の5種類のマウスでは抗体産生は微弱であり、後期になって、さらに2種類のマウス(B10,B10S)に中等度の抗体産生が認められた。マウスのHCV抗体はpl-15,p11-25,p21-35,p51-65を認識していた。マウス・コア抗体のIgG subclassは、IgG2b>IgG2a>IgG1であった。また、B10MマウスのT細胞の認識エピトープであるp51-65ペプタイドでまず免疫刺激を行い、次にHCVコア抗原で追加免疫を行うと十分な抗体産生やT細胞の幼若化反応が見られた。従って、この領域ペプタイドはHCV感染の際のペプタイド・ワクチンとしての可能性を有している。 また、今回の検討では、慢性C型肝炎患者では大多数の症例においてHCV抗体は、p1-15,p11-25,p21-35,p31-45に結合し、一部の症例のHCV抗体は、p41-55,p51-65に結合した。コア抗体のIgG subclassは、IgG1>IgG3であった。次にインターフェロン治療の前後の検体を用いて抗体価の変動を検討したところ、p11-25ペプタイド(P2)に対する抗体価がインターフェロンの治療効果を反映して、有効例では有意に低下していた。特にIgG1型P2抗体がインターフェロン有効例で著名に低下が認められた。現時点では、インターフェロン治療の有効例の判断の指標として、肝機能の持続的な正常化とHCV-RNAの持続陰性化が用いられているが、ペプタイド抗体低下例がインターフェロンの長期的な治療効果の指標となりうるかどうか今後検討を行っていく予定である。
|