研究課題/領域番号 |
09670516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 和彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80240703)
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研究分担者 |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
四柳 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | C型肝炎 / トランスジェニックマウス / エンベロープ蛋白 / 肝炎 / シェーグレン症候群 / 唾液腺炎 / Sialadenitos / 唾液線炎 / シェ-グレン症候群 |
研究概要 |
慢性C型肝炎患者の約半数で唾液腺にシェーグレン症候群様の病変を認めたと報告されている。我々のグループでは、HCVのエンベロープ遺伝子を導入して樹立したトランスジェニックマウスを報告した。このトランスジェニックマウスの肝においては、高度のE1とE2蛋白の発現にもかかわらず、何らの組織学的変化も生じてこない。これに対して、同様にE1、E2蛋白の発現の認められた唾液腺においては、マウス出生後数か月から特徴ある組織変化が生じてきた。すなわち、まず、唾液腺内の小血管の周囲にリンパ球浸潤(limphocytic capillaritis)を生じ、これが次第に拡大し、約6か月齢には、小葉内導管(intralobular duct)の周囲に著明なリンパ球浸潤を認めるようになる。唾液腺炎はゆっくりと進行性であり、約一年半を経過すると唾液腺内の導管の増生や実質の脱落と線維化を認めるようになる。これらの病変は、ヒトにおけるシェーグレン症候群における唾液腺病変に酷似している。また、涙腺においても同様な炎症像を認めている。 唾液腺病変の頻度を月齢毎にみていくと、3か月齢以内に病変は既に出現し、全体では80%以上のトランスジェニックマウスで唾液腺炎が出現している。これに対して、非トランスジェニックマウスでは、113匹中の2匹にごく軽い唾液腺炎を認めたのみであった。マウスの唾液腺におけるエンベロープ蛋白の発現も確認されている。すなわち、ウエスタンブロットによって、E1、E2の両エンベロープ蛋白は唾液腺において肝と同レベルに発現していることが確認され、また免疫組織染色では、唾液腺内の導管上皮細胞にエンベロープ蛋白が確認された。唾液腺炎とエンベロープ蛋白発現との間には、強い関連が存在する。 本トランスジェニックマウスの意味するところは、二つある。ひとつは、HCVとシェーグレン症候群あるいはシェーグレン症候群類似の唾液腺炎との関連を実験的に証明できたことである。ふたつ目は、HCVのエンベロープ蛋白がシェーグレン症候群様唾液腺炎の発症の原因になっていることを示したことである。
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