研究課題/領域番号 |
09670535
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
有沢 富康 (有沢 冨康) 名古屋大学, 医学部, 助手 (50273230)
|
研究分担者 |
丹羽 康正 名古屋大学, 医学部, 助手 (20283442)
後藤 秀実 名古屋大学, 医学部, 助手 (10215501)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | Helicobacter pylori / Tumor Necrosis Factor / soluble TNF Receptor! / Apoptosis / Helicobacter Pylori / soluble TNF Receptor / Tumor Necrosis Facter |
研究概要 |
我々はすでに胃液中の含有物質を解析することで、Helicobacter plyori(HP)感染胃粘膜において腸上皮化生の進展とともに胃のHP排除機構としての局所免疫応答に変化が起こり、本来は胃液中に分泌されないIgAが分泌されることを報告した。その過程において、胃液中に可溶性Tumor Necrosis Factor(TNF)受容体の放出も増加することを見いだした。HP感染胃粘膜では炎症性cytokineであるTNFが病態形成に重要であることが知られ、一方敗血症などにおいては可溶性TNF受容体がその病態を修飾することが知られている。そこで、HP感染下における可溶性TNF受容体の意義につき検討した。 まず、胃液中のTNF含量と可溶性受容体含量、胃粘膜組織像の関係では、I型、II型受容体ともTNF含量に有意に相関したが、両受容体間での含量の相関は認めなかった。また、sydney systemに準じた胃粘膜組織像との関係ではTNF含量は単核球浸潤のみに相関し、可溶性受容体含量は組織像との相関を認めなかった。すなわち、TNFは単核球を主とした炎症細胞より放出され、可溶性受容体の産生はそれとは異なるが、TNFに反応して放出されている可能性が示唆された。 そこで、胃癌培養細胞MKN45及びKATOIIIを使用し、さらなる検討を行った。MKN45、KATOIIIにTNFを作用させると、用量依存性にI型、II型可溶性受容体の放出が確認された。TNFにより両細胞のviabilityの低下はわずかであったが、可溶性TNF受容体の中和抗体を同時に作用させることでviabilityの有意な低下が観察された。また、apoptosisを示すDNA ladderは、TNF単独ではほとんど認められなかったが、中和抗体の同時投与によりapoptosisの亢進が確認された。Western blottingでは細胞表面のI型、II型模型受容体の発現は減少し、RT-PCRでは両膜型受容体mRNAレベルのわずかな亢進が観察された。 以上の結果より、炎症細胞より放出されたTNFに対し、上皮細胞は膜型受容体を切断し、可溶化することでシグナルのdown regulation、さらには可溶性受容体によるTNFのblockといった2段階の調節機構が存在することが示唆された。
|