研究課題/領域番号 |
09670687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
辻野 精一 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第5部, 室長 (70280790)
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研究分担者 |
菊池 建機 国立精神・神経センター, 神経研究所・モデル動物開発部, 部長 (80005628)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | α-グルコシダーゼ欠損症 / アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 / ノックアウトマウス / ウズラ / α-グルコシダーゼノックアウトマウス |
研究概要 |
α-glucosidase(acid maltase : AM)欠損症に対するアデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療の効果を動物モデルにおいて検討した。COS-TPC法によりアデノウイルスベクターにCAGプロモーターに支配されるヒトAMcDNA発現単位を構築した(AxCANAM)。動物モデルとしてまずAM欠損(AMD)ウズラを用いた。3週齢の個体の浅胸筋に筋注し、最長84日まで経過を追って解析した。マーカーとして墨を混注した。AxCANAMを個体の浅胸筋に筋注すると、筋注していない筋組織でPAS染色により観察されるglycogenosomeは注射した部位の周辺で消失し、acid phosphatase活性による染色性も低下していた。生化学的にも注射部位のAM活性は増加し、グリコーゲン量は低下していた。これらの効果は注射後14日後までは著明で、28日後まで認められたが、84日後には明らかではなくなった。次に動物モデルとして用いるべく開発されたばかりのAMノックアウト(KO)マウスの解析を行った。ホモ接合子は各臓器でAM酵素活性はほとんどゼロとなり生直後より骨格筋、心筋、脳などにグリコーゲンが蓄積し骨格筋には空胞変性をきたすが、ヒトでの乳児型ほど重症とならなかった。しかし生後7-8月齢になると、それまで動作が遅いという程度の表現型であったのが、明かな筋症状を呈するようになった。すなわち後肢の開脚、走行の不能、脊柱の後弯などが出現した。6週齢のAM-KOマウスの心腔内にAxCANAMを注射し1週間後、前脛骨筋、心筋、肝のAM活性、グリコーゲン含量を測定し、組織切片のPAS染色、acid phosphatase染色を行った。またこれら臓器と血清中のAM蛋白のWestem blot解析を行った。AxCANAMを心腔内注射したAM-KOマウスの各臓器では生理食塩水を注射したマウスの臓器に比べ、AM酵素活性は著明に増加し、グリコーゲンの蓄積は減少した。この効果は心筋で特に著しく、PAS染色、acid phosphatase染色による染色性も著明に低下した。またWestem blot解析では血清、肝、心筋、前脛骨筋にAM蛋白が検出された。心腔内注射したAxCANAMは肝細胞によく導入されたが、筋での導入効率は低かった。しかし肝で発現したAMは主に前駆蛋白として分泌され血液を介し全身に及び、筋細胞などでuptakeされライソゾーム中で活性型AMにプロセスされるといった過程を経て全身に効果を及ぼしたと考えられた。
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