研究概要 |
経静脈性心筋造影剤としての効用を実験的に作成した心筋虚血ないし冠動脈狭窄を用いて明らかにすることが今回の研究目的である。第1に冠動脈完全閉塞に基ずく冠血流・冠潅流の途絶診断の確認を行った上で,第2に有意冠動脈狭窄の診断を検討する。心筋造影法では微小循環が直接可視化でき,その画像が経静脈性に可能であれば臨床的有用性が高い。以上の点を明らかにするのが本研究の目的である。基礎検討として,経静脈性造影剤を用いて心筋染影効果を確認したが,従来の超音波装置及び方法では必ずしも明瞭な心筋染影画像が得られず,造影剤の検定と撮影装置側の撮影手法の改良を検討した。その結果,造影剤の種類により造影性能とその持続性能が異なること,より効率を上げるために超音波二次高調波画像手法と間歇送信法が有効であることが判明した。さらに,狭窄の定量的評価を目的としたモデル流路は流路内での流量と投与造影剤,染影性を検討し,至適濃度を決定の後,管腔狭窄の影響を検討を行った。 動物実験での検討では経静脈性超音波造影剤を股静脈より注入し,心筋造影のための至適注入量を決定し,同時に薬剤による血行動態諸指標の変動を検討した。臨床での急性心筋梗塞をモデルとした冠動脈結紮による虚血領域の診断性能の検討で,心拍動下に冠動脈を結紮し,虚血領域を作成しその領域の可視化が可能であった。 さらに、有意狭窄を作成し、安静時には冠血流量が変化しないことを確認のうえ、薬剤負荷を行い、虚血領域を明瞭に描出し得た。これにより、臨床への利用の道がひらけた。
|