研究概要 |
アンジオテンシンIIのレセプターサブタイプATlの微小血管に及ぼす直接作用、腎内各血管での作用特異性と臓器特異性を明らかにした。アンジオテンシン代謝産物、アンジオテンシン3-8(Ang(3-8))の生理的な作用機序と内皮由来一酸化窒素(NO)との相互作用を明らかにした。(1)腎糸球体輸入細動脈(Af-Art)はAng(3-8)により高濃度で有意な収縮反応を示し、この収縮はATlレセプターの選択的阻害薬で完全に抑制された。(2)NEによる前収縮後,Ang(3-8)はAf-Artを拡張した。(3)(2)で認められた拡張反応は10^<-4>ML-NAMEの前処置で消失した。腎輸入細動脈におけるアンジオテンシンIIの血管収縮は主にATlサブタイプを介していると考えられた。また、高濃度のアンジオテンシン3-8は収縮反応を来し、低濃度では拡張反応を示した。この拡張反応には内皮由来のNOが関与していると考えられた。 腎糸球体輸入細動脈上のアシジオテンシン受容体の血管収縮反応に関与するアンジオテンシンII ATl、AT2レセプターの作用を以下の方法で検討した。New Zealand White Rabbitの左腎を摘出、実体顕微鏡下に腎皮質より単一のAf-Artを糸球体が付着した状態で単離した。MEM液にて60mmHgで定圧灌流し、以下の実験を行った。10^<-8>MアンジオテンシンIIによる前収縮後、10^<-7>〜10^<-5>Mの選択的AT1レセプター阻害薬であるCV11974、AT2阻害薬であるPD123319を各々灌流槽に加えAf-Artにおける用量反応曲線をみた。アンジオテンシンIIは容量依存性にAf-Artを収縮させた。この収縮反応をCV11974は容量依存性に抑制した(10.0±0.80,11.8±0.86,13.1±0.73μm,n=7)。PDl23319は抑制しなかった(11.9±1.81,11.5±2.05,11.1±2.15μm,n=7)。以上よりアンジオテンシンIIはAf-ArtにおいてAT1レセプターを介して収縮させた。この収縮反応に関してはAT2レセプターは関与していなかった。
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