研究課題/領域番号 |
09670751
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
熊谷 裕生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50170048)
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研究分担者 |
大島 直紀 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20265789)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 高血圧 / 交感神経中枢 / 延髄吻側腹外側領域 / パッチクランプ法 / 興奮性シナプス後電位 / 摘出脳幹-脊髄標本 / レギュラータイプニューロン / ネットワーク / 摘出脳幹脊髄標本 / パッチクランプ / 膜電位 / ペースメーカーニューロン / ルシファーイエロ-染色 |
研究概要 |
高血圧の発症に交感神経中枢ニューロンの亢進がいかに関与しているか研究する第一歩として、平成9-10年度は、ホールセル・パッチクランプ法を用いて延髄吻側腹外側野(RVLM)の交感神経中枢ニューロンを電気生理学的に解析した。標本として新生ラットの摘出脳幹-脊髄標本を使用した。この研究は交感神経ネットワークが保たれた状態において、RVLMニューロンの膜電位の細胞内記録(intracellular recordings)を解析した世界でも見られない新しい試みである。 1. 151個のRVLMニューロンを解析し、発火パターンから3タイプに分類した。(1)規則発火型ニューロン(n=20)。高頻度の規則的な発火(3.6 spikes/sec)を呈し、興奮性シナプス後電位を示さない。(2)不規則発火型ニューロン(n=106)。不規則な発火(1.3 spikes/sec)で、シナプス後電位を多く伴う。(3)サイレント型ニューロン(n=25)。静止電位で発火しないが、脱分極させた時のみに発火する。 2. RVLMニューロンが自発的に発火しているのか、他からの入力によって発火しているのかを調べるためシナプス伝達を遮断する低カルシウム高マグネシウム溶液で灌流したところ、規則発火型は影響を受けず、全ての発火が残存した。一方、不規則発火型では12のうち8ニューロンの発火が完全に消失した。これらの結果から、規則発火型ニューロンは自発的に発火している可能性が示された。 3. それぞれのニューロンが本当に末梢交感神経を制御しているかを確認するため、胸髄Th2レベルの脊髄中間外側核に電気刺激を与えたところ、151のうち33ニューロンが一定の潜時(45ミリ秒)で逆行性活動電位を生じた。この逆行性活動電位は3タイプのニューロンすべてに認められた。 逆行性活動電位が3タイプのニューロンそれぞれに認められたことから、すべてのタイプが交感神経調節に関与していると結論した。用いた摘出脳幹-脊髄標本では求心性迷走神経→交感神経中枢→脊髄中間外側核→末梢交感神経というネットワークが保たれていることが証明され、この実験系で高血圧発症における交感神経中枢ニューロンの関与をさらに研究していく。
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