研究課題/領域番号 |
09670758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
古幡 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (70056985)
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研究分担者 |
渡辺 久之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80192441)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 血栓溶解 / 超音波 / 血栓溶解剤 / 塞栓症 / 血管再開通術 / 血栓 |
研究概要 |
血栓溶解剤静注時に、塞栓部に対し体表から超音波照射することで深部血管内血栓溶解時間を短縮し、早期血流再開を可能とする。低侵襲早期血管開存法についてin vitro in vivo実験を通してその基本的有効性を確認した。超音波周波数は200KHz〜300KHz、再開通時間は30分前後、rt-PA 投与時間の短縮に伴う使用量の軽減などを確認し、経胸的冠動脈再開通や経頭蓋的脳血流再開通などの深部血管への適用の基礎検討を行った。 (1)超音波プローブの試作と同ビーム音場内組織温度上昇分布 超音波周波数200KHzを用い、0.8W/cm^2暴露時の組織内温度上昇を肉片(厚さ5〜80mm)を用いたシュミレーション実験で確認した。サーモグラフィーを用いた結果は3℃以下(プローブ表面から5mmの深さ)であり、深さ50mm以上では0.5℃以下であった。また、5mm間隔での比較では、局所的な高温スポットが見つからず、温度は深さ方向に指数関数的に減衰した。ただし、プローブとの接触面では熱傷があった。針型(0.5mm)サーミスタ温度計を用いて、局所高音圧領域の温度上昇を経時的に測定した。上昇温度は最大でも2〜3℃に留まり、試作プローブは体内に hot spot を形成しないことを経時的にも確認した。 (2)冠動脈血栓溶解における超音波照射併用の有効性 犬の自家血(一定量)を用いた人工血栓を冠動脈前下行技末梢に注入し、心筋梗塞モデルを作り、rt-PA0.5mm/kg点滴静注下で超音波併用(200KHz、0.25W/cm^2)による再開通時間の短縮程度を評価した。rt-PA単独投与(非併用)例7頭、超音波併用療法例6頭で比較した結果、併用例では非併用例より再開通時間が20分早まり31.7分となった(P=0.022)。投与量は35%減少し、0.29g/kgで有効であった(p=0.022)。 (3)深部血管内陳旧化血栓への有効性検討 深部血管内の陳旧化血栓に対する有効性についてヒト血液による24時間血栓(3ml)を作成し検討した。超音波照射併用の有効性が認められ、血栓溶解剤単独投与時の約1/2の時間でFDP-DD増加が進み、再開通時間の短縮、また予後の良好なことを予測させるものとなった。 超音波治療法としての深部血管内血栓溶解に関連する安全性の確認を終了し、また陳旧化血栓への有効性も確認したことで、十分な超音波パワーを照射しながら早期血流再開を行う超音波併用血栓溶解療法の深部血管への臨床的適用性を示した。
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