研究概要 |
対象と方法:低身長を主訴に検査入院した9名を対象とた。3種類の薬物負荷試験や夜間分泌試験などの結果から、成長ホルモン分泌不全(GHD)と正常低身長(NS)の2群に分類した。GHD群は4名で(男:女=3:1)、年齢4〜10歳。NS群は5名で(男:女=3:2)、年齢5〜13歳。唾液は2gの脱脂綿を口腔内に含ませ30分後に取り出し1,500rpm、5分間遠心し採取。唾液中のGHの測定は、高感度酵素免疫測定(EIA)を用いた。血中GHの測定は、栄研キットの二抗体ビーズ法で行った。 希釈試験:希釈試験の結果から唾液50μlを被検唾液量とした。測定系の感度は0.03pg/tube、したがって唾液中GHの検出限界は、0.6pg/mlとなった。 基礎値:唾液中GHの基礎値は、GHD群で3.8±4.6pg/m1(mean±SD)、NS群では、5.2±4.5pg/ml(mean±SD)となり有意差を認めなかった。低値が予測されたGHDの唾液中GH基礎値においても本法を用いれば十分測定可能であった。薬物負荷による唾液中GHの変動パターンは、血中GHの変動パターンとパラレルに変化した。両群ともに薬物負荷後の血中GHの上昇から30〜90分遅延して唾液中GHのピークが認められ、多くの症例で両者の変動パターンはほぼ一致した。この結果から、唾液中GH濃度は、血中GH濃度に依存しており唾液中のGH測定でGH分泌能の評価が可能であると考えられた。 相関:血中GH頂値と唾液中GH頂値を比較したところ良好な相関を得た(y=1.93x-3.31,r=0.84,p<0.001,n=22)。唾液分泌量は種々の刺激により変動する。成長ホルモン濃度を唾液中の物質で補正した。標準化物質として唾液中のIgGを同時に測定し唾液中hGH値を補正した。その結果、y=0.18x-0.24,r=0.86,p<0.001,n=17とさらに良好な相関を得た。
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