研究概要 |
1 モルモット心筋からの電位依存症K^+チャネルのクローニング モルモット心室筋より抽出したRNAからoligo-dTプライマーを用いてcDNAを合成しテンプレートとした.RNCKIA(KVL.1 Bauman.A.EMBO J.,1998)をモデルとしてプライマーを作成し,RT-PCRによりモルモット心室筋K^+チャネルcDNAを得た.RNCKIAとの相同性は塩基配列,アミノ酸配列ともに90%以上であった.特に膜貫通領域であるS4,S6領域ではより高い相同性を示した.組織別の発現では,心筋同様肺・肝・腎・後頚筋および大脳にも発現しているが,心室および心房では他の組織より発現量が多かった. 2 心筋炎後のQT延長は免疫学的イオンチャネルの抑制によるものか 家族性QT延長症候群のイオンチャネル異常として報告されているKVLQT1(K^+channel),HERG(K^+channel)およびSCN5A(Na^+channel)の3つのイオンチャネルのアミノ酸構造に基づいて,膜外およびポアの部分に対応するペプチドを計23種類合成した(KVLQT17種類,HERG7種類およびSCN5A9種類).心筋炎後にQT延長を呈する患者9名の血清とチャネルペプチドとの抗原抗体反応を抗ヒトIgG,および抗ヒトIgMを用いELISA法にて確認した.川崎病後および不整脈でフォロー中のQT延長を認めない児の血清をコントロールとした.KVLQT1およびHERGのペプチドのなかでも電位センサーおよびポアの部位に対するペプチドと患者血清とで陽性所見を認めたが,患者全てに共通する陽性所見は認められなかった.現在患者血清の直接的なイオンチャネルの抑制をみるためモルモット心筋細胞のイオン電流と患者血清との関係を電気生理学的手法により検討中である.
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