研究概要 |
(1)アポトーシス細胞の定量方法の確立した.すなわち細胞を固定し,TdTによりBrDUを取り込ませた.ついでFITCをラベルした抗BrdU抗体と反応させ,酵素抗体法によりアポトーシスを起こした細胞を同定することができた. (2)ヒト白血病細胞の野生株とトポイソメラーゼIIαに変異を持つ薬剤耐性株を抗腫瘍剤で処理し,アポト-シスを起こした細胞を定量した.抗腫瘍剤に対する薬剤耐性の度合いとアポトーシス細胞の比率が逆相関することがわかった. (3)ヒト白血病細胞の野生株とトポソイメラーゼIIαの変異株に抗トポイソメラーゼ作用を持つ抗腫瘍剤(doxorubicin,VP-16)を作用させると,いずれもG2-M期の細胞の集積がみられた.従って,doxorubicin,VP-16はG2-M期の細胞に作用してアポトーシスを引き起こすことが推測された. (4)近年,アポトーシスに先立ってトポイソメラーゼIIαの発現量が低下することが明らかにされたため,細胞周期の進行とトポイソメラーゼ発現の調節機構の関連を検討した.トポイソメラーゼの発現量は正常だが蛋白構造に変異を持つ薬剤耐性細胞とトポイソメラーゼの蛋白構造は正常は発現量が低下している薬剤耐性細胞のいずれにおいても,doxorubicin,VP-16の処理によるトポイソメラーゼ発現量の低下は野生株に比較してごく軽度であり,トポイソメラーゼ活性の低下によって導かれるアポトーシスの経路が存在することが示唆された.
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