研究分担者 |
武井 研二 北里大学, 医学部, 助手 (50236410)
砂押 渉 北里大学, 医学部, 講師 (20171283)
白井 宏幸 北里大学, 医学部, 講師 (10154353)
島貫 郁 北里大学, 医学部, 助手 (10265697)
岩崎 俊之 北里大学, 医学部, 助手 (70265627)
細田 のぞみ 北里大学, 医学部, 助手
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研究概要 |
1.Zonisamide(ZNS)単剤1日1回投与法が無効な症例にclonazepam(CZP)を併用し,両剤併用時の血中濃度の相互作用と,CZP併用後の臨床効果を検討した.対象は3〜15歳(平均10歳1か月)の潜因性局在関連性てんかんの患児10例で,CZP併用時のZNSの投与量は10.6±3.1mg/kg/day,CZPの維持量は0.050±0.006mg/kg/dayである.その結果,CZPを併用後ZNS血中濃度に変化はみられなかった.また,併用したCZP血中濃度も,他のCZP単剤治療の症例の血中濃度と等しく,両薬物間に血中濃度面での相互作用は認められなかった.しかし,CZPを併用後,なお約1/3の症例で発作の抑制が困難であった. 2.Carbamazepine(CBZ)を単剤で継続服用中の7か月〜20歳(平均11歳9か月)のてんかん患者131例を対象に,CBZと活性代謝物carbamazepine-10,11-epoxide(CBZ-E)の総血中濃度と遊離型血中濃度を同時に測定し,両者の総血中濃度に対する遊離型血中濃度の比率(F/T比)を検討した.CBZの投与量は10.52±2.85mg/kg/dayであった.その結果,年齢と総ならびに遊離型CBZ-E/CBZ血中濃度比との間には,全年齢を通しては相関を認めないが,12歳を境として2年齢群間で比較すると,総ならびに遊離型血中濃度ともに,CBZ-E/CBZ血中濃度比は年少群が有意に高値を示した.また,CBZの1日投与量と総ならびに遊離型CBZ-E/CBZ血中濃度比との間には,いずれも正の相関を認め,投与量が増すほどCBZ-E/CBZ血中濃度比が上昇した. 3.小児の覚醒時大発作てんかんに対するsodium valproale(VPA)単剤治療の効果と血中濃度,ならびに断薬後の経過を検討した.対象は8か月〜15歳未満(平均7歳6か月)の患児194例で,初回1日維持量(27.0±3.8mg/kg)での血中濃度は53〜149μg/ml(平均104.9±18.0μg/ml)であった.このうち,16例ではVPA単剤治療が無効で他剤を併用したが,発作抑制例と非抑制例の初回1日維持量と血中濃度に差を認めなかった.長期経過観察が可能であった120例中108例では一定の条件を満たし,投薬を減量,中止したが,21例で断薬2週〜3年10か月(平均7.2か月)後に発作が再現した.この断薬後の発作再発例と非再発例の治療経過に差はなく,断薬に至る減量直前のVPA血中濃度にも差はないが,発作再発例は年長例に多くみられた.また,小児期に治療を開始して,同一維持量を継続し,思春期から成人に至る減量までの期間に,VPA血中濃度は約20%低下した.
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