研究概要 |
皮膚のEBウイルス関連NK/Tリンパ種やリンパ球増殖症のなかには、特有の臨床症状と組織所見をしめす病型が存在することを報告した(Arch Dermatol,1997,Br J Dermatol,1999).その病型は,1)血球貪食症候群を示す皮下型リンパ腫、2)CD56陽性リンパ腫、3)種痘様水疱症に関連したリンパ腫、4)悪性組織球症様リンパ腫、5)顔面・眼瞼腫脹と筋肉内浸潤を伴うリンパ腫である.このうち、種痘様水疱症に類似の重症型皮疹と発熱,肝障害などを示した6症例中3例が発症の2-14年後にEBウイルス関連NK/Tリンパ種へ進展したことが明らかになった.さらに、典型的な種痘様水疱症も疾患概念のことなる重症度をしめし,重症型は悪性リンパ腫へ進行するリスクをもつ. NK/Tリンパ種が,なぜアジアに多発するのかを解析するために、1)宿主の免疫学的背景、2)ウイルスサブタイプ、3)環境因子の点から解析を進めている.本邦のリンパ腫から分離されるEBウイルスサブタイプの大部分は、EBNA2遺伝子はタイプ1型、LMP-1遺伝子はXho1 site(-)で30bp欠損株であり,欧米とは異なっていた.増悪因子として、蚊刺アレルギーと紫外線が注目される.現在のところ、HLAハプロタイプの血清型については明らかな特徴は認められていない. 今後は、種痘様水疱症のような早期病変にどのような増悪因子が働いて進展するのかを臨床的および細胞学的に解析し、治療に結び付ける必要がある.
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