研究概要 |
代謝性骨疾患や骨異形成症などにおける骨の微細な構造変化は、厚さ0.15mm以下の骨梁表面や直径0.15mmほどのオステオンの中心部にみられるもので,現在生検組織診にゆだねざるを得ない.これに対して、高速傾斜磁場や表面コイルが近年目覚ましく発達したMRI技術を用いれば、骨などの生体内組織の微細構造変化を捉えられる可能性がある.顕微鏡像に近い画像を得るため、高分解能MRI像をMRマイクロスコピーと呼ぶ. 既設の高性能MRI機種(1.5-T,Signa Horizon,General Electronic社製)に指専用の受信コイルを併用し、骨の高分解能MRI像(FOV<2cm、512X512matrix)を試みた.受信専用コイルはバードケージ型クアドラチャー方式あるいはフエイズドアレイ方式をとり、入力インピーダンス50オーム、IEC601-1安全規格に準拠したものである。正常人5名ならびに原発性服甲状腺機能亢進症患者3名において、第2中節骨の骨皮質の撮像を行ったところ、骨皮質内のハバース管の描出がみられた.この結果をふまえて、横河メディカルシステムより昨年3月に新作コイルが納入された.現在まで、グラディエントエコー(GRASS)系のパルス系列で1mm厚スライス像を得ている.また、3Dのグラディエントエコー(GRASS)系のパルス系列で、よりS/N比の良い画像を得るよう調整を開始している.腹部を覆うプラスチック製のドーム型の手置きを設置し、そのうえに指先専用コイルを置いた.被験者は肘を曲げて、手を腹部の上に置くかたちになるため、撮像体位は苦痛の少ないものとなった.なお、指先専用コイルの空間分解能が飛躍的に向上したため、指の関節構造や腱損傷の診断にも期待がもたれている.
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