研究概要 |
目的:慢性関節リウマチ(以下RA)およびRA疑い症例の手関節について,造影剤注入後のdynamic MRIを行い,dynamic curveの解析,炎症の活動性評価における有用性を検討した。 対象と方法:RAおよびRA疑いの患者38名を対象にした.臨床所見からRAの活動性(+)群(n=29),RAの活動性(-)群(n=5),RAが否定された群(n=4)に分類した. MRIは,頭部用のコイルを使用し,手関節に平行な2cm厚の1スライスを設定し,造影剤投与直後から3〜4秒おきの撮像(fast-SPGR法)を行った.滑膜のエンハンス効果がみられる部位に関心領域を設定し,その部位のdynamic curveについて立ち上がりから60秒後の時点まで直線を引き,この直線とdynamic study curveとの間の面積(positive enhancement integral)に計測した(これをPEI-60とする).さらにこの指標をもとにしたfunctional imageを作製した. 結果:RAの活動性(+)群はRAの活動性(-)群と比較して造影効果のより急峻な立ち上がりがみられ,PEI-60はRAの活動性(-)群で14.3±12.8,RAの活動性(+)では34.6±18.6を示し,両者に有意差を認めた(p<0.01).CRPとの相関では,相関係数0.45で有意の相関を認めた(p<0.01).PEI-60に基づくfunctional imageでは,活動性の比較が視覚的に可能であった. 結論:造影剤投与後のdynamic study curveを数値化した基準を用いることで,RAの活動性をより客観的に判定することが可能となった.多発性関節炎であるRAをひとつの関節で判定する転に問題が残るが,RA早期の手関節病変について治療効果を判定するひとつの基準になりうると考えられた.
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