研究分担者 |
堀 雄三 大分医科大学, 医学部, 助手 (70295187)
竹岡 宏 大分医科大学, 医学部, 助手 (20253792)
前田 徹 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00157140)
清末 一路 大分医科大学, 医学部, 助手 (40264345)
上田 真也 大分医科大学, 医学部, 助手 (80223460)
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研究概要 |
1.目的 YAG Laser Systemを用いたinterstitial hyperthermiaによる肝細胞癌の治療を確立する. 2.対象と方法 病理学的もしくは臨床的に肝細胞癌と診断された患者15例26病巣(腫瘍平均サイズ17mm)を対象とした.超音波ガイド下もしくはCTガイド下にレーザーファイバーを腫瘍内に挿入し照射を行った.照射方法は2W/15〜20分の連続照射を6例7病巣,5W/5分のパルス照射を10例17病巣,5W/4分の連続照射を2例2病巣に行った.治療効果判定は本治療後7-14日後と1カ月後,その後2-6カ月毎にダイナミックCTを用いて行った. 3.結果 平均照射回数2.1回,平均照射エネルギー2019Jであった.治療後1ヶ月以内の初期治療効果として,11例18病巣(69%)で腫瘍の完全壊死を認めた.5例8病巣(31%)では照射直後に腫瘍の残存が確認されたため,2例に抗癌剤動注療法が,2例に手術が追加された.完全壊死を示した18病巣のうち,9例14病巣(78%)が,2〜24カ月後(平均7.1カ月)に再発が認められ,再治療が施行された.合併症としては照射中の軽度熱感と疼痛が全例に認められた.また治療後に一過性の肝胆道系酵素の上昇が全例に,肝被膜下血腫が5例に見られたが,いずれも保存的に軽快した.一方,重度合併症としては穿刺部における腫瘍播種が1例,消化管穿孔が1例に見られたがいずれも手術により回復した.消化管穿孔は直接的照射によるものではなくパルス照射による余熱の波及が原因と考えられた. 4.結論 今回の臨床研究結果は,期待に反し不十分な治療成績に終わった.その原因として腫瘍および腫瘍周囲の肝血流(肝動脈および門脈血流)が腫瘍内の加温を妨げたものと思われた.したがって今後本治療法を確立していく上では,血流遮断術の併用や照射方法の更なる見直しが必要と考えられた.
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