研究課題/領域番号 |
09670968
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 徳島大学 (1999) 北海道大学 (1997-1998) |
研究代表者 |
大森 哲郎 徳島大学, 医学部, 教授 (00221135)
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研究分担者 |
永峰 勲 徳島大学, 医学部, 助教授 (80198358)
小田垣 雄二 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10221160)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | Schizophrenia / Methamphetamine / Sensitization / Environment / Acetylcholine / Glutamate / GABA / Benzodiazeoine / Benzodiazepine / 覚醒剤 / 行動感作 / 精神分裂病 / ドーパミン / 一酸化窒素 / 神経可塑性 |
研究概要 |
覚醒剤をラットに反復投与すると、行動効果が次第に増強する。この行動感作という現象は、ヒトが覚醒剤を連用するうちに次第に幻覚妄想を発現する過程に対応し、その類似性から精神分裂病の再発準備性や難治化にも示唆を与える現象である。この現象の成立に関して、環境要因と認知記憶系の関与を視野にいれながら、神経回路網の可塑的変化という観点から研究することが本研究の目的であった。 我々は本研究に先立って、グルタミン酸系、アセチルコリン系、および一酸化窒素(NO)系の関与を示唆する結果を得ていたが、本研究によって、一酸化窒素(NO)系の関与が一層明らかとなるとともに、GABA系の関与を明らかにすることができた。すなわち、行動感作の成立をGABA-benzodiazeoine作動薬のclonazepamが抑制し、この抑制効果をbenzodiazeoine受容体拮抗薬のflumazenilが阻止することを示し、clonazepamの作用がGABA-benzodiazeoine受容体を介したものであることを証明した。これは、我々が初めて発見した現象である。このことは、覚醒剤行動感作にGABA-benzodiazeoine系が関与していることを示し、GABAA受容体を介するGABA神経伝達が行動感作形成過程に重要の役割を有することを示唆している。 以上の結果とこれまでの研究結果の機能的な意義を考究し、我々は次のような仮説を提唱した。すなわち、1)行動感作成立過程は認知学習機能を含む 2)行動感作はひとつの神経可塑的現象であり、他の神経可塑的現象と薬理学的性質を共有する、の二点である。NMDA阻害薬、ムスカリン性アセチルコリン阻害薬、GABA-ベンゾジアゼンピン作動薬、NO合成阻害薬などの、認知記憶機能を障害する薬物が行動感作に抑制的に働くという実験成績が、我々の仮説の立脚点である。精神分裂病の再発準備性や難治化に関しても示唆を与える仮説であると言うことができる。
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