研究概要 |
1. 8-OH-DPATの効果における概日リズムと概年リズムの存在の有無を明らかにする目的で,季節と時刻を変えてウィスター系雄性ラットに8-OH-DPATを皮下投与し,投与後90分間にわたってforepaw treadingとhead weavingの総出現数を記録することによって,同薬によりもたらされるセロトニン症候群のリズムを測定した。各ラットは実験には一度のみ用いた。実験は3ヶ月おきに合計5回行った。 2. forepaw treadingもhead weavingもともに,いずれの季節においても概日リズムを示した。 3. forepaw treadingもhead weavingもともに,いずれの時刻においても年リズムを示した。概日リズムの位相は年を周期とするリズムを示し,年リズムの位相は1日を周期とするリズムを示した。これらのリズムは室温,明暗条件を一定に保った条件下で確認されたものであるところから,光周性や外気温に直接反応することによってもたらされるいわゆる季節変動ではなく,内因性の概年リズムであろうと考えられた。 4. これらの結果から,同薬に対する反応性には,概日リズムとともに概年リズムが存在することが示唆された。 5. 次に,8-OH-DPATに対する反応性を指標を変えて体温降下作用を用いて測定した。その結果,体温降下作用においても,同薬に対する反応性に概日リズムとともに概年リズムが存在することが明らかになった。 6. ハロペリドールに対する概日および概年リズムについての実験は,ラットを用いて現在進行中である。
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