研究課題/領域番号 |
09671105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷本 光音 名古屋大学, 医学部, 講師 (10240805)
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研究分担者 |
飯島 也万 名古屋大学, 医学部, 医員
河野 彰夫 名古屋大学, 医学部, 医員
唐渡 雅行 名古屋大学, 医学部, 医員
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / AAVベクター / 造血細胞株 / 遺伝子導入 / 細胞治療 / 細胞培養 / 血液悪性腫瘍 / GVL効果 / 造血幹細胞移植 / GLV効果 / ドナーリンパ球輸注 / リコンビナント / AAV |
研究概要 |
Adeno-associate virus(AAV)は広くヒト細胞に感染するものの毒性が少ないため、遺伝子治療のベクターとして期待されている。しかし血液細胞への応用は進んでいないため、基礎的な検討を1995年から開始し、MOI<1の低値での実験であったため導入効率は不良であったが、慢性骨髄性白血病急性転化〉急性骨髄性白血病〉急性リンパ芽球性白血病の細胞株の順に導入効率に各1桁の差が認められたことをを報告した。さらに骨髄移植への応用をめざしT細胞への遺伝子導入をめざし本研究を開始した。また、基礎研究からの倫理的な面を押さえることをもう一つの目標として研究を申請した。 1) AAV導入効率の改良:リコンビナントAAVの白血病細胞への導入効率を改善するためにセシウムクロライド法を取り入れ検討したところ最大で100倍の濃縮が可能となった。これを用い各種血液細胞へのAAVの導入効率をT、Bリンパ球、好中球系、単球系、幹細胞由来の白血病細胞へのネオ耐性遺伝子の導入効率を白血病コロニー法および限界希釈法を用いて検討したところMO110で最大70%の細胞に導入できた。さらにゲノムに組み込まれていることをサザン法やFISHで確認した。 2) 正常ヒトリンパ球の培養:正常リンパ球の培養と増幅についてはOKT3とIL-2を組み合わせ7日間で20倍に増殖する系を確立した。培養後90%以上がCD8陽性細胞であった。現在ヒトフィダー細胞を用いてCD4陽性細胞培養について検討中である。 3) AAVベクターによるヒトリンパ球への遺伝子導入:我々の作成したrAAV/Tk/NeをMOI=10000で導入したところ、遺伝子導入効率は平均25%であった。同時に行った旧GTl社GITklSvNaでの導入効率はMOl=10でほぼ90%と良好であった。さらに導入後G418培地で7日間培養後ガンシクロビルを添加したところ両方とも100%の細胞が死滅したことより、導入された遺伝子の発現は良好であったと考えられた。AAVベクターの導入効率はレトロウイルスベクターに比して低かったが、今後は臨床におけるリンパ球への遺伝子導入をめざした基礎データの蓄積を行っていく必要がある。 4) AAVベクターによるシステム開発:現在我々が利用できるAAVプラスミドはクローニングサイトが一箇所であり、またマーカー遺伝子も組み込まれておらず、プロモーターを変更しにくいなどの問題点がある。これらの問題を解決するために本年度は本研究室独自のプラスミドの作成に時間を費やしてきた。基本はマーカー遺伝子はネオ耐性遺伝子、GFP遺伝子、LacZ遺伝子を5'側と3'側に組み込んだものを6つ作成し、新たにCMVのプロモーターを使ったものを作成した。血球細胞を標的細胞として、遺伝子導入をAAVを用いて行い、これまでより効率の遺伝子導入の結果を得た。ー方、改良すべき点も少なからず認められ,今後さらに効率的な遺伝導入法の確立が待たれる。
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