研究課題/領域番号 |
09671177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
吉村 吾志夫 昭和大学, 医学部, 助教授 (50211660)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 老化 / テロメア / テロメラーゼ / メサンギウム細胞 / 活性酸素 / 糸球体腎炎 / 腎不全 / 透析療法 / アポトーシス |
研究概要 |
本研究の主要な目的は糸球体腎炎の進展過程におけるメサンギウム細胞の老化の意義をテロメア、テロメラーゼ活性に焦点を当て明らかにすることにある。本研究によって、(1)ヒト培養メサンギウム細胞の長期継代を行い、各々の継代時においてDNA抽出を施行後telomere repeat probe を用いてSouthern blot を行いテロメア長を検討し、継代によってメサンギウム細胞が実際に老化しテロメア長が短縮すること、(2)糸球体障害の重要な進展因子となるPDGFや活性酸素により、メサンギウム細胞のテロメア長の変化を誘導可能であることをあきらかにした。さらにTRAPeze telomerase detection kit を用いてテロメラーゼ活性の検討を行ったが、過酸化水素の暴露によって高度のテロメラーゼ活性の誘導に成功し、この活性は活性酸素の持続的影響や継代によって短縮し細胞の老化に密接な意義を持つものと考えられた。またテロメア長の変化とアポトーシス回避の指標となる bcl-2/bax 遺伝子発現比との関連は今回の結果では、明らかにできなかったが、この点については今後、検討の余地があるものと思われた。本研究のような培養メサンギクム細胞におけるテロメアおよびテロメターゼ活性からの検討はいまだ報告がなく、老化および活性酸素による腎機能の低下や糸球体硬化の研究にも応用が可能であることが期待される。 第二の検討としてテロメアの観察の臨床応用を試みた。一般に末期腎不全患者や透析患者においては、著明な動脈硬化や皮膚の変化など齢に伴って認められる変化が同年齢の健康人に比較して顕著であり、腎不全状態ないし透析療法を受けている状況が加齢による変化を加速している可能性があることを示唆している。これを明らかにする目的で長期血液透析患者の抹消血の白血球のテロメア長の変化を健康正常人のものと比較、検討した。50歳代の長期血液透析患者5例と同年代の健常人5例の抹消血白血球のテロメアを観察した。透析患者のテロメアは9.8±2.1kbp と健常人の10.7±2.9kbpに比し、有意な短縮を示した(p<0.05)。これが腎不全状態の存在によるものか、血液透析患者の影響なのかを明らかにするため、現在保存期の腎不全患者についても同様な検討を行っている。
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