研究課題/領域番号 |
09671193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胎児・新生児医学
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
大西 鐘壽 香川医科大学, 医学部, 教授 (40080014)
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研究分担者 |
今井 正 香川医科大学, 医学部, 助手 (60176477)
磯部 健一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00159815)
伊藤 進 香川医科大学, 医学部, 講師 (80145052)
河田 興 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (40284369)
日下 隆 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (50274288)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 脳内エネルギー代謝 / 連続波長近赤外線分光測定 / ^<31>P-MRS / cytochrome c oxidase / phosphocreatine / inorganic phosphate / 低血糖 / インシュリン / 新生仔豚 / 近赤外分光測定 / チトクロームCオキシターゼ / 低血糖症 / 脳内ヘモグロビン酸素飽和度 / 脳血液量 / ^<31>P-核磁気共鳴スペクトロスコピー |
研究概要 |
本研究では、未熟児新生児医療において頻繁に経験される低血糖が、病態生理学的に脳組織におけるredox stateひいては脳エネルギー状態に如何に影響するかについて検討するために、新生仔豚を対象として低血糖負荷を行ない、連続波長近赤外線分光測定装置(fsNIRS)測定と^<31>P-MRSによりPCr、ATP、PiならびにpHiを同時測定し検討した。この研究より得られた成績は以下の通りである。 (1)cytochrome c oxidaseの分光学的に測定される酸化型は血糖値が30mg/dl以下になると5例中3例で僅かに(約5%)増加したが、10mg/dl以下になると全例において減少した。 (2)脳組織内総Hb量は低血糖状態では前値に比して有意に増加した。 (3)PCr/Pはインスリンの投与時には低血糖出現前値より有意に減少した。またグルコース投与によってcytochrome c oxidaseの酸化型はその前値まで回復したが、PCr/Piは投与後30分経過しても前値まで回復しなかった。 (4)低血糖負荷により惹起されたPCr/Piが1.2以下の領域では、PCr/Piとcytochrome c oxidaseの酸化型との間に有意な正の相関が認められた。しかし、低血糖負荷のcytochrome c oxidaseの酸化型の減少程度は低酸素負荷時に認められた減少率よりも軽度であった。 以上の結果よりcytochrome c oxidase酸化型の低下は、低血糖に随伴する低血圧による脳血流量の低下や、細胞内の微細構造を維持するために必要なATPというエネルギーが枯渇してcytochrome c oxidaseのサブユニットに歪みが生じ、電子の流れが障害されたためと考えられるが、今後の更なる研究が必要である。本研究により、低血糖におけるfsNIRSの測定による脳内エネルギー代謝測定の臨床的意義が明確化され、新生時期の低血糖による脳障害の予防、管理および治療の指標の確立に期待が持たれる。
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