研究概要 |
この研究ではビタミンAとレチノイン酸の動脈管成熟促進作用を研究した。この研究の端緒は1996年にColbertにより発表されたレチノイン酸受容体の早期かつ特異的動脈管発現である。ラットの胎生期は妊娠15日から21.5日である。動脈管の成熟はインドメサシン1mg/Kgの胃内注入後4時間の胎仔動脈管収縮度で判定した。未熟な動脈管は収縮が少なく,成熟すると収縮が強くなる。まず胎生期早期(15-17日)のレチノイン酸投与の実験は動脈管の成熟に一定の効果を与えなかった。次に胎生期後期(19日,20日)にレチノイン酸投与は一定の成熟促進効果があった。次にビタミンAの胎生期後期(19日,20日)の効果をしらべると,1mg/Kgの皮下注射で動脈管の成熟が顕著に促進された。10mg/Kgではかえって動脈管の収縮は弱くなった。ビタミンAの20日1日の注射で21日の成熟が進んだ。従ってこの作用から,臨床的に未熟児の動脈管開存症にインドメサシンが単独に効かない例にビタミンAを投与後インドメサシンを投与すれば有効となると予想される。
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