研究分担者 |
細井 温 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
小見山 高士 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10292947)
安原 洋 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50251252)
重松 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40134556)
畠山 卓弥 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60291324)
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研究概要 |
深部静脈血栓症症例を対象とし,近赤外分光法を用いて下腿腓腹筋部の脱酸素化ヘモグロビン量の歩行運動時の変化を連続的に測定し発症後の静脈還流機能を検討することにより,以下の結果を得た。 1, 深部静脈血栓症(DVT)に対する検出能に関する検討 DVTのスクリーニング検査として従来から用いられているair-plethysmography(APG)と比較して,近赤外分光法がDVTの検出に有用であることを示した。特に下腿型DVTに関しては,APGよりも優れた検出能を有することを確認した。 2, Postthrombotic syndrome(PTS)症例における静脈還流機能評価 DVT発症後のPTS症例において,個々の臨床症状に応じて静脈還流障害が生じていることが判明した。また,DVT発症後の時間経過に伴う血栓部位の再疎通や弁破壊による逆流などの病態の変化により下肢の静脈還流機能も変化していることを確認した。 3, 血栓部位による静脈還流機能の相違に関する検討 DVT発症時における血栓閉塞部位あるいは閉塞範囲により,発症後の慢性期の静脈還流機能に有意な差が認められることを示した。特に,膝窩静脈に血栓閉塞を有する場合に静脈還流障害が高度であり,PTS発症の危険が高いことが判明した。 4, PTSの病態に関する検討 APGを併用して血栓による静脈閉塞の程度を測定し,近赤外分光法の結果と比較することにより,PTS症例の静脈還流機能には閉塞と逆流の2つの病態が混在して関与していることを示した。 5, PTSにおける静脈還流障害と静脈弁機能との関連 超音波検査を併用して,DVT発症後の血栓閉塞部位の再疎通や弁破壊に伴う逆流の発生について観察し,膝窩静脈領域の血栓のほとんどが溶解により再疎通しており,同部位に逆流を有する症例で有意に静脈還流障害が強いことが判明した。
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