研究概要 |
活性化NK細胞によるRosenbergらのLAK療法は一世を風靡したが単純な適用には限界があった.一方,VujanovicらはIL2単独刺激による粘着性NKの増殖法を開発した.このA-NKはPBMCの1-4%程度しか回収できないが,LAKより活性が一桁高く,1000倍に増殖できる.最近,彼らは末梢血幹細胞移植と併用している.NKはFcRを介する刺激で活性化と同時に顕著な細胞死を起こす.我々はPBLを固相化IgG(iIgG)で刺激してNKを活性化し,細胞死を克服すると同時に高回収率で分離精製する簡便な方法を開発した. 細胞の操作は3つの過程よりなり,各過程で刺激培養条件を比較検討した.1.PBLの調整とiIgG刺激:刺激により,活性化と共に細胞死が起こったが後者は混在するMoおよび血清類に依存した.2.NKの粘着性獲得による精製:さらに,T細胞の共存によって抑制されるような細胞死があった.iIgG刺激で大部分のNKが粘着したため,T細胞を十分な時間共存させた後,分離除去することが出来た.3.活性化NKの回収:粘着NKは刺激開始6-8hで自然剥離し,1dcには残存Moの周囲でclusterを形成したが,このときさらに細胞死が起こった.自然剥離細胞を残存する粘着Moから分離回収して培養すると,細胞死は免れたが活性化率が著しく低下した.このMoの促進的効果はIL12で代替えできた. 以上はFCSを用いたが,非働化新鮮自己血清で代替えできた.以上の検討より,PBMC中の大部分のNKを回収し,培養18日で1000倍程度に増殖する高純度高活性のNK増殖法が確立された.腫瘍免疫に於けるNKの役割は一意的には決められないようであるが,virus感染のfirst defense mechanismとして依然重要な細胞である.本法の治療的応用が期待される.
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