研究課題/領域番号 |
09671238
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山口 康雄 熊本大学, 医学部, 助教授 (90253757)
|
研究分担者 |
守 且孝 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10040213)
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | CD8 T cell / phenotype / CD45RC / 胸腺外分化 / liver transplantation / TGF-β / rat / immunologic unresponsiveness / liver fransplantation / DST / CD4^+T cell / CD8^+T cell / IL-10 / IL-18 |
研究概要 |
ラット肝移植モデルを用いて移植前ドナー抗原投与による特異的免疫学的寛容状態を誘導した。移植肝内の浸潤細胞、特にCD8+T細胞について白血球共通抗原のアイソフォームの一つであるCD45RCの発現状態についてFACS解析を行った。CD8+細胞にはCD45RC-CD8+細胞とCD45RC+CD8+T細胞の2種類のフェノタイプが存在し、寛容状態の移植肝ではCD45RC-CD8+T細胞/CD45RC+CD8+T細胞数比が拒絶群に比較して有意に増加していた。cell sortingによりそれぞれの細胞群を単離し、PCR法にて各種サイトカインの発現を検索した。CD45RC+CD8+T細胞とCD45RC-CD8+T細胞では、それぞれIL-2とIFN-γ及びIL-4とIL-10が強く発現していた。従って、これらの細胞群はそれぞれTc1及びTc2であることが判明した。ドナーであるACIラット(RT1a)とclassIMHC抗原(RT1Aa)だけが遺伝的に同一であるPVG.r1ラットのヘパリン加新鮮血血液1mlを移植7日前にレシピエントの投与すると、ドナー抗原投与群と同様に、移植肝は生着延長した。このことより、寛容状態の誘導にはドナーのclassIMHC抗原が重要な役割を演じていることが推察された。このモデルを用いて、移植肝内のCD8+T細胞のフェノタイプについて解析した結果、寛容状態の移植肝ではCD45RC-CD8+T細胞/CD45RC+CD8+T細胞数比が拒絶群に比較して有意に増加していた。移植肝における各種サイトカインの発現をNorthern blot法にて検索した。拒絶群では、TNF-α、IFN-γ、IL-12、IL-18、寛容群ではTGF-β、IL-10が強く発現していた。正常のラットの脾臓から単離したCD8+T細胞を用いて、これらのサイトカインがCD45RCの発現に及ぼす効果について検討した。その結果、TGF-βでCD45RCの発現が有意に抑制された。拒絶群ではc-kit protooncogene mRNAが発現し、これはIL-12によって増強されることが判明した。以上より、移植前ドナー抗原投与による特異的免疫学的寛容状態の誘導時には、TGF-βが産生され、CD8+T細胞におけるCD45RCの発現を抑制し、坑炎症性サイトカインであるIL-4やIL-10を産生するTc2が誘導されることが判明した。
|