研究概要 |
臨床臓器移植に免疫寛容(免寛)を導入すべく、より安全な方法の開発をbeagle成犬の腎移植(KGT)をモデルにして検討してきた。1.RecipientRへの術前全リンパ組織の選択的LinacによりX線照射(FLI)150rad/日、10時間、kGT時に腎(D)からのPHA無反応分画骨髄移植(BMT、平均2×10^7/kg)、術後FK506(FK)、0.08mg/H/d、90日間の連日筋中投与によりchimera発現、維持LT_2(R)ではFK投与中止後も腎は生着し腎(D)からの皮膚移植片(SG)のみが感染に生着した。2.本法を死体腎移植に応用すべく、FLIを3日間に短縮、FKを術後2週間が0.16mg/H/d、4週目まで0.08mg/H/d、以降90日目まで0.04mg/H/dとしたところ、chimeraは不成立だが、FLI、FKの併用で寛容が得られたが、副作用も生じた。3.安全性を重視し、FLIは150rad/d、3日間に固定、術後少量のFK0.08mg/H/d30日間法とした結果、BMTの効果が発現した。(1)無処置群(n=9)(2)FKのみ(n=6)(3)FLI,BMC(n=3)(4)FLI,FK(n=8)(5)FLI,BMT,FK(n=13);(1)(2)(3)群では、腎生着日数(MSD)、11,15,7.3日、(D)では8/8例で118日以内に拒絶、MDS:53.2日、一方(E)群ではMSD、172日であり、雌雄が異なるpairsで5/8例でchimeraが接続し、すべて>70日生着、1例では再現性よく(D)SGのみが寛容となった。他の4例は腎機能は、良好であったが、合併症で死亡した。しかし、雌雄が同じpairsの3例中2例では腎は長期生着(431、248日)、SGTではいづれも(D)のSGのみが寛容となった。MLR-block of studyでは、chimeraの持続の2例の腎生着例で(R)の末梢血リンパ球、骨髄細胞、リンパ節に移植した(D)BMCが移住し、再生されてきたと考えられる免疫調節細胞が(R)anti(D)MLRを特異的に抑制した。(R)リンパ球は術前に保存した細胞である。一方、chimera消失例では、抑制は見られず、(D)に対する特異的なリンパ球障害性拡体が出現していた。今回、使用したpairsはMLRによる不適合であったが、retrospectiveではあるが、PCR-SSCPで、殆どの症例で2mismatchを確認できた。従って、本併用療法は当初意図したごとく、組織不適合であっても寛容を誘導、維持できることが判明した。さらに寛容誘導因子を明確にすべく、自家繁殖犬のfamilyの中でPCR-SSCPで確認したhomozygousの型同志(DLA・DR遺伝子型)を支配し、現在、beagle、mongrelの一家系にそれぞれに雄2、雌3:雄2、雌2のoffspringを得ることが出来た。これらをtypeし、homozygousな個体同志を支配し、少なくとも3型((D)、(R)、Third-party(T))を固定し、上記のprotocolをより安全に有効なものにしていく計画である。
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