研究課題/領域番号 |
09671302
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山内 清明 京都大学, 医学研究科・消化器外科, 助手 (00291427)
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研究分担者 |
淀井 淳司 京都大学, ウィルス研究所・感染防御, 教授 (80108993)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部・看護学科, 教授 (10135577)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科・消化器外科, 教授 (90089102)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1998年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1997年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 肝内リンパ球 / 肝硬変 / 肝細胞癌 / 細胞内グルタチオン / Nアセチルシステイン / チオアセタシド / N-アセチル システイン / 細胞内グルタチン / IL-12 / N-アセチルシステイン / グルタチオン |
研究概要 |
この2年間で、肝硬変肝癌患者の肝類洞内リンパ球の機能と細胞内レドックスの関連を検討し、レドックス制御薬としてのGSHの前駆物質N-acetylcysteine(NAC)が有効な補薬である可能性を明らかにした。まず、1年目は肝硬変ラットモデルの作成をチオアセタミドを用いて行い、線維化の形態においてよりヒトに類似したモデルの作成に成功した。肝硬変ラットの肝類洞内リンパ球分画は正常ラットと有意な差は認めなかったが、抗腫瘍活性は著明に低下し、細胞内還元型グルタチオン(GSH)濃度も低下を認めた。In vitroでGSH合成阻害剤BSO添加した正常肝類洞内リンパ球の抗腫瘍活性は、細胞内GSH濃度の低下と共に低下した。更に、NACを腹腔内投与すると、肝硬変群の肝類洞内リンパ球の抗腫瘍活性は正常ラットのレベルまで回復した。以上から、ラット肝類洞内リンパ球の細胞内グルタチオン濃度と抗腫瘍活性に正の相関関係があることが明らかとなった(r^2=0.44)。肝疾患患者の肝類洞内リンパ球抗腫瘍活性は肝内胆管癌や転移性肝癌の患者でも低下を認めたが、肝癌患者では肝類洞内リンパ球内のGSH濃度が有意に低下していた。肝癌患者の切除肝より得られた肝類洞内リンパ球のリンパ球の分画は、生体肝移植ドナーのグラフト肝より得られた肝類洞内リンパ球と有意差はなく、末梢血リンパ球と比較してNK細胞、NK-T細胞が多く、B細胞が少ないという特性は保持されてた。肝類洞内リンパ球の抗腫瘍活性は肝癌群で対照群に比較し著明に低下しており、細胞内GSH濃度も抗腫瘍活性と相関して低下を認めた。さらに、in vitroで肝類洞内リンパ球をIL-2とともに培養する系にNACを添加すると、肝癌群肝類洞内リンパ球の抗腫瘍活性はNACの添加により約50〜70%増強された。これらの結果は、肝類洞内リンパ球が多くの細胞傷害性リンパ球より構成され、肝類洞内においてその強い細胞傷害活性による独自の免疫環境を形成している一方で、肝臓での酸化還元環境に対する強い感受性を持ち、その環境にその活性が制御されていることを示している。サイトカイン療法を肝臓に対して行うときには、NACなどの還元因子を用いた細胞内レドックス環境の補整が必要であることが推測された。
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