研究概要 |
当科において継代維持されているヌードマウス可移植ヒト胃癌株3株について、以下の様な知見が得られた。 まず、3株のうち増殖の一番よいMK3株について、腫瘍の産生する血管新生因子VEGF、basic FGF、thymidine phophorylaseを免疫組織学的手法を用いて検討した。MK3株はthymidine phophorylaseの発現については弱陽性であったが、VEGF、basicFGFについては陽性であった。 次にヌードマウスの背部にヒト胃癌株MK3を移植し、推定腫瘍重量が100mgになった時点から、抗血管新生因子thalidomideを200mg/kg、抗エストロゲンで同時に抗VEGF作用をもつをICI182,780を1OOmg/kg、4週間連日経口投与した。腫瘍増殖抽線では、いずれの薬剤においても抑制効果は認められなかった。 そこで胃癌株による実験の続行を断念し、ヌードマウス可移植ヒト食道癌株2株(ES63、ES80)を用いて同様の実験を行った。免疫組織学的検討ではES63はVEGF、basic FGF、thymidine phophorylaseのいずれも強く発現していたが、ES80ではthymidine phophorylaseは発現を認めたが、VEGFの発現は非常に軽度であり、またbasic FGFは発現が観察されなかった。この2株をヌードマウスの背部に移植しthalidomide、ICI 182,780による増殖抑制実験を行ったところ、ES63株においてthalidomideによる抑制効果を認めた。ICI 182,780による抑制効果はやはり認めなかった。
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