研究概要 |
1. 膵管内乳頭腫瘍のバルーンカテーテルを用いた内視鏡的膵管造影による診断研究成果はHepato-Gastroenterology 45:1986-1995,1998に掲載された。 2. 膵管内乳頭腫瘍の免疫組織学的解析 1990年3月〜1996年4月までに当院外科ならびに関連施設で外科的に切除された膵管内乳頭腫瘍40例を対照とした。材料は全てホルマリン固定、パラフィン包埋切片を用いた。各病変における平均MIB-1 Labeling Index(LI)は,浸潤癌,非浸潤癌,腺腫,過形成でそれぞれ64.65±9.48、42.71±11.84、19.21±6.70、7.48±4.79であった。p53蛋白の発現は、DO-7,PAb1801ともに,浸潤癌10/12例(83.3%),非浸潤癌6/11例(54.5%),腺腫3/11例(27.3%)に見られ,過形成は全例陰性であった。 本研究により、KI-67抗原標識率、p53蛋白の発現が膵管内乳頭腫瘍の悪性度と相関する事が明らかとなり、膵管内乳頭腫瘍の成立,進展に関与していることが示唆された。 膵管内乳頭腫瘍に於けるアポトーシスとAgNORの発現について検討し、遺伝子解析を行った。 平均AgNOR数は、浸潤癌>非浸潤癌>腺腫>過形成の順に高値を示し、各病変間に有意差が認められた。腫瘍細胞のアポトーシスの検索はTUNEL法で行った。TUNEL指数は浸潤癌2.675±1.225、非浸潤癌1.536±0.856、腺腫1.275±0.840、過形成0.500±0.074で、浸潤癌で有意に高値を示した。 腫瘍細胞を単離、DNAを抽出、PCRで増幅し、遺伝子解析を行ったが、腫瘍細胞の単離の段階で他の細胞成分を完全に除去することが困難で十分な解析が行えなかった。従って、現在は、DNAを抽出後、DOP-PCR法により増幅した後、Comparative Genomic Hybridization(CGH)法を用いて染色体異常の検索を行っている。
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