研究概要 |
1)Indomethacinのmodulation効果がヒト癌全体に認められる普遍的な効果であることを実証した。肺癌細胞30cell lineと他癌細胞5例を対象と一してindomethacinとVCRとの併用効果をMTT法で検討した。その結果,indomethacinの血中濃度2μg/ml濃度でのVCRに対する併用modulation効果(MI)は大細胞癌で平均3.06倍、腺癌で2.91倍、扁平上皮癌1.92倍、小細胞癌1.67倍と腺癌、大細胞癌で強いmodulation効果(P<0.01)が認められた。他癌細胞でも2倍以上のmodulation効果が認められた。 2)難治性肺小細胞癌紬胞の細胞学的な特徴を検討する目的で、18例の小細胞癌細胞株と47例の非小細胞癌細胞株の培養上清液中の腫瘍マーカーをRIA法で測定し、増殖動態、薬剤感受性および予後との関連を比較検討した。その結果、平均NSE値は小細胞癌細胞で有意に高値を示したが、CEA値に有意差は認められなかった。肺小細胞癌では各細胞株のNSE, CEA産生能に逆相関関係が認められ、CEA産生能が高い細胞ほど底面付着性が増し、非小細胞癌様の増殖動態を取る傾向が認められた。低NSE高CEAを示す非小細胞癌様細胞を持つ患者は術後生存期間が有意に悪かった。 3)化療後再発の大細胞癌様増殖動態をとる難治性のvariant cell type4例と,classic cell type6例のVCRおよびMTXに対する2μg/ml indomethacinのMIを検討した。Variant cell lineのVCR感受性に対するMIは、classic cell lineのMIに比べ約2倍の強いmodulation効果を受けた。 4)肺癌細胞に対する、dipyridamoleとcyclosporin Aのmodulation効果を検討し、更にindomethacinとの併用modulation効果を検討した。VCRに対する併用modulation効果はindomethacinとcyclosporin Aの併用で最も強い相乗modulation効果を示した。 5)化療後再発難治性肺小細胞癌に対するindomethacinとVCRとMTXを併用したmodulation療法を2例に施行し2例共に著効を得た。以上より難治性末期肺小細胞癌に対してindomethacin modulation療法は有用な治療法になると考えられた。
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