研究概要 |
A.まず,肺動脈血栓塞栓モデルを作成した.家兎を全身麻酔に気管切開,挿管,人工呼吸とした後,左開胸,左肺を露出した.右心室より左肺動脈にバルーンカテーテルを挿入し,さらに左肺動脈を剥離し,流量計プローブを装着した. 1.当初の計画どおり左肺動脈単純遮断にて肺血流を遮断し血栓が作成されるかを検討した.1時間,3時間,6時間の単純遮断を行い,CCD顕微鏡にて肺末梢循環の変化を観察したが,単純遮断のみでは遮断時,肺組織末梢の血流は完全には消失せず,6時間まで遮断を行っても遮断解除後,末梢の血流は再開した.単純遮断のみでは肺動脈内に血栓を形成することが困難であることが判明した. 2.肺動脈内に挿入したバルーンカテーテルにて左下肺動脈を閉塞し,線維素溶解阻害剤薬であるepsilon amino caproic acid (EACA)(150mg/kg)を20分間で投与,その後,15分してトロンビン(150NIH units/kg)を投与した.これにより肺末梢の血流が停止し,血栓が形成されたことがCCD顕微鏡による観察にて確認され,これを肺塞栓モデルとして使用することとした. B.Aの肺動脈閉塞モデルにt-PA(58万単位/kg)を投与した.CCD顕微鏡による観察で血流の再開が起こることを観察した.これにより血栓溶解療法の効果をCCD顕微鏡にて評価可能であることを証明した. C.当初予定した超音波発生装置が我々が使用する0.25から5w/cm^2程度の出力の範囲でのコントロールが困難で、組織の障害が強いことが判明したため,本田電子製の超音波発生装置,1MHz-20W(可変),及び300KHz-20W(可変)を選定,購入した.現在A.B.の実験で得られたモデルを1.コントロール群(生食投与群),2.ウロキナーゼ投与群,3.ウロキナーゼ投与+超音波照射群(1MHz,および300KHz,0.25Wから5W/cm^2連続照射)下の3群にわけ最も血栓溶解が早く,且つ組織障害の少ない条件を検討している.
|