研究概要 |
【目的】TMLR(Transmyocardial Laser Revascularizaton)はCO2 LASERを用いて心外膜表面より虚血心筋にMicro Poreを作成し、心内腔より、又は側副血行を介して虚血心筋に血行を改善させるものである.われわれはTMLRを施行した豚において中、長期遠隔期の成績を検討した。 【方法】豚において次のように1群、2群に分けてTMLRの遠隔期成績を正常対照群と比較検討した。1群;第1対角枝(D1)領域にTMLR(30J)により30個のMicro Channelを作成し同時にD1を結紮したもの。2群;1群と同様のTMLRを施し,D1は放置したもの。術後長期遠隔(12ヶ月後)おいて2群のD1を結紮後,両群の同領域の壁運動、組織血流を測定した。また同時にBradykininの心筋内注入によりTMLR部の交感神経反応を観察し,犠死後免疫組織染色にて神経終末端の存在を検討した。 【結果】1群においては、D1領域の壁運動はsevere reducedかnoneであり、組織血流も認められず、急性冠動脈閉塞に対するTMLRは効果が認められなかった。また組織学的検討においても、同部は著明な繊維化が認められ、Bradykininによる痛み刺激に対しても反応が著しく低下していた。2群においては、D1を結紮した後、同部の壁運動は低下しているものの、組織血流と共に同部の心筋の梗塞部位縮小効果が認められた。またTyrosine Hydroxylase染色においては1群、2群、正常対照群とも心筋外膜周囲の結合組織中に十分存在した。【結論】TMLRは虚血に対してある程度の血流改善効果をもたらしたが,その効果は壁運動を改善させるまでには至らなかった。また,TMLRによっては交感神経末端は破壊されず,胸心痛の消失は組織血流の改善によるものと考えられた。
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