研究課題/領域番号 |
09671404
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
程塚 明 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00229204)
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研究分担者 |
中井 啓文 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20142820)
佐古 和廣 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80113736)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | cerebral blood flow / autoregulation / nitric oxide / adenosine / rat / microdialysis / cerebral blood flou |
研究概要 |
平成9年度は、脳血流の自動調節能における一酸化窒素(NO)の役割の解明を目的として研究を行った。ウィスターラットの頭頂部にマイクロダイアリーシス用プローブ、レーザードップラー血流計のプロープを装着し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,N0_3^-)を測定した。また、我々が開発した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)においても同様の実験を行った。結果としては、1)生理的ラットにおいては、血圧が50mmHgに低下すると、有意の脳血流低下を認めた。また、NOは血圧70mmHgより増加傾向を示し、60mmHgにおいて有意の増加を示した。2)NO合成酵素阻害薬(N-monomethyl-L-arginine 30mg/kg)投与ラットにおいては、安静時のNO産生は低下し、血圧低下に対しても増加せず、体血圧が70mmHgより有意の脳血流低下を認めた。3)三血管閉塞ラットにおいては、体血圧90mmHgより脳血流低下を認め、NO産生の亢進も認められなかった。以上より、脳血流の自動調節能にNOが関与していることが示唆された。 平成10年度は、脳血流自動調節能におけるアデノシンの役割の解明を目的として研究を行った。しかし、研究分担者の交代や実験手技の習熟不足などより、安定した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)の作製が得られず、アデノシン濃度の測定も誤差が大きく、評価可能なデータが得られなかった。 平成11年度も10年度と同様に、生理的ラット及び脳虚血ラット(両側内頚動脈閉塞ラットを実験に供した)において、脱血による体血圧低下時のアデノシン濃度をマイクロダイアリーシス法にて測定した。結果としては、当初予測したデータは得られず、有意な上昇も低下も認められなかった。次いで、平成10年度に予定していた、正常ラット及び脳虚血ラット(両側総頚動脈閉塞ラット)において、NO基質(L-arginine 300mg/kg)を投与し、投与前後の脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,N0_<>^-)を測定し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、経時的に脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,NO_3^-)を測定した。結果としては、1)生理的ラットにおいては、NO基質の投与により脳血流は平均69.2%の有意な増加を認め、NO代謝産物も平均36.0%と有意な増加を認めた。また、脱血により体血圧が50mnlHgに低下しても、脳血流は著変なく、NO代謝産物は平均58.5%と有意な増加を認めた。しかし、この有意な増加は20分で前値に戻った。次に、再度NO基質を投与すると、脳血流は平均59.8%、NO代謝産物も平均67.5%と更に有意な増加を認めた。2)脳虚血ラットにおいては、NO基質の投与により脳血流は平均37,7%の有意な増加を認め、NO代謝産物は平均50.4%の有意な増加を認めた。また、脱血により体血圧が70mmHgに低下すると、脳血流は平均24.0%の有意な低下を示したが、NO代謝産物は平均30.2%と有意な増加を認めた。しかし、この有意な増加も20分で前値に戻った。次に、再度NO基質を投与すると、脳血流は著変なく、NO代謝産物は平均83.5%と更に有意な増加を認めた。以上より、NO基質の投与により、一過性ではあるが、脳血流自動調節能の軽度の改善効果が示唆された。
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