研究課題/領域番号 |
09671418
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高安 正和 名古屋大学, 医学部, 助手 (60216794)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ポタシウムチャンネル / 脳微小循環 / 細動脈 / ポタシュウムチャンネル |
研究概要 |
近年の電気生理学的研究の進歩によりポタシュウム(K)チャンネルの詳細が解明されるにつれこのチャンネルの組織血流を調節する役割が注目されてきている。冠、肺動脈では、静止膜電位及び基礎的血管緊張の維持に大きく関与し、かつ、ATP,アデノシン等で活性化されることで心筋のエネルギー需要に応じ冠血流量をダイナミックに調節する事がわかってきた。一方、脳微小循環調節におけるKチャンネルの役割についての研究は少なくほとんど知られていない。今回我々は血管平滑筋細胞の膜電位と血管径を同時に測定しながらKチャンネルの脳微小循環調節への関与を研究した。(方法)ラットの中大脳動脈領域から脳実質内細動脈を摘出し倒立顕微鏡上の組織槽内でカニュレーションを行なった。血管内圧を60mmHg加えた後、温度を摂氏37.5度まで上昇させると自発張力が出現し血管径は安定した。次に、脳肉細動脈の血管径と同時に細動脈平滑筋細胞の膜電位を測定した。硝子管より作製した電極にポタシュウムアセテートを満たし、Ag-Agcl線のついたテフロン電極ホルダーに固定した。これを増幅器に接続し、電極は顕微鏡下にカニュレーションされた血管に進め血管壁に接触させた後、電動パルスマニピュレーターを使用して平滑筋細胞内に刺入した。ここで電位が安定したところで膜電位の測定を開始した。(結果)ATP-感受性ポタシュウムチャンネル阻害剤であるglibenclamideを10μM投与すると血管径は59.0±13.1μm(n=10)より5.1±4.4%の収縮をおこし膜電位は-33.3±4.2mVの静止電位より-29.7±3.6mVへと有意に脱分極した。一方、一酸化窒素(NO)の合成阻害剤であるNG-monomethyl-L-arginine(L-LNMMA:100μM)の投与では膜電位はほとんど変化を示さなかった。以上より、脳細動脈の基礎的血管径の維持にはATP-感受性ポタシュウムチャンネルが関与していることが示された。(考案)脳微小循環調節においては、代表的な拡張性調節因子である一酸化窒素に比べてもポタシュウムチャンネルの関与が大きいと考えられた。今後は様々な病態におけるポタシュウムチャンネルの関与について検討して行きたい。
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