研究分担者 |
山本 勇夫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30158266)
川本 進 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80125921)
服部 聡 横浜市立大学, 医学部, 助手 (40275037)
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10217995)
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00260787)
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研究概要 |
von Hippel-Lindau(VHL)病は,小脳や脊髄の血管芽腫と網膜の血管腫、腎癌、褐色細胞腫などを高率に生ずる常染色体優性の遺伝性疾患であり、1993年に染色体第3番短腕より単離され、その遺伝子(VHL遺伝子)の塩基配列が明らかとなった。この疾患は、潜在的な患者も含めて我が国には約3000人の患者がいるものと推定されているが、これまで正確な疫学調査はなされていない。われわれはこれまで腎癌(Cancer Res 54:2852,1994)と血管芽腫(Cancer Res 54:4845,1994)のみならず,神経膠腫(Cancer Res57:1035,1997)でVHL遺伝子変異を見出したほか,VHL病の家系の遺伝子診断を約80家系収集して行い,成果をあげてきた(Hum Mol Genet4:2233,1995:Jpn J Cancer Res87:423,1996;脳神経51:33,1999)。また、散発性の血管芽腫か遺伝性のVHL病かの判別もこの遺伝子診断でおこなってきた。さらに、正常組織におけるVHL遺伝子の発現を検討し、中枢神経系の神経細胞,腎近位尿細管細胞等に発現を認めた(J Pathol 180:271,1996).現在、VHL病家系の遺伝子解析を継続中であるほか,VHL遺伝子産物に対するモノクローナル抗体を作製し、これを用いたimmunoblot法にてVHL遺伝子産物の発現を正常の神経細胞だけでなく,血管芽腫や神経膠腫の細胞質において確認しており、RT-PCR法にてmRNA発現も検討したところ,神経膠腫においては悪性度が高くなるほどVHL遺伝子産物の発現がなくなる傾向が認められた.また,中枢神経の発生段階で神経幹細胞からの分化に関わっているかどうかを検討したところ,ニューロンへの分化に関与していることが明らかとなり,またニューロンの細胞周期を制御している可能性が示唆された.
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