研究概要 |
[目的]磁気共鳴法の多彩な技法を活かし,脳内代謝物質の分布と動態・脳循環・脳機能を非侵襲的に画像解析する方法の開発とその応用を行った。[方法]まず、動物用4.7TMR装置および臨床用1.5TMR装置で以下のMR法を開発・改良し、脳循環代謝機能の解析法への検討を行った。(1)^1Hでmulti-voxel MRSと代謝物質の分布像が得られる化学シフト画像法(CSI)の高性能化、(2)超高速法による水分子拡散強調画像(EPI-DWI)、(3)血管内の水を指標とした脳の灌流画像(Perfusion画像)、(4)超高速法(EPI)による脳機能画像(fMRI)[結果]CSIの高速化の研究では、N-アセチルアスパラギン酸,クレアチン,コリンの検出と画像化が可能となったが、まだ分解能の向上の研究が必要である。通常のCSIでは脳梗塞、脳腫瘍、アルツハイマー病、小児疾患、変性疾患などでNAAおよびCreatineの低下,Cholineおよび乳酸などが画像化された。EPI-DWIでは,脳梗塞超急性期の診断、新旧梗塞巣の鑑別ができ、脳組織内の拡散の易方性も検出できた。Perfusionでは、DWIと同一の傾向を示さない例もあり、病巣部の多様性が示唆された。fMRIでは運動や光のなどの単純負荷のみならず、言語、想像などの高次機能でも活性部の画像化が時間分解能よく(1秒以下)認められた。また、脳内各部の活性に時間差があることも推測され、補足運動野での活性が一時運動野に先立って生じることが観とめられた。以上、CSIによる脳代謝、DWIやPerfusionによる脳循環、fMRIによる脳機能、などの画像が得られ、MR法による脳循環代謝画像解析が行えた。[結論]MRの多彩な方法にて、非侵襲的な脳循環代謝機能の画像解析が可能であり、今後多くの脳神経疾患に適用され得ることが明らかとなった。
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