研究概要 |
1.東京大学医科学研究所獣医学研究部勝木元也教授より供与をB/6J:N10, p53(+/-),雄に2匹を用いて研究を開始した。 2.マウス尾より抽出したDNAをtemplateとし,マウスp53遺伝子のintron 1上の forward primerとexon 2上のreverse primer,およびノックアウトマウスにおいてp53遺伝子のexon 2より挿入されている LacZ遺伝子上のreverse primerを用いて1回のpolymerase chain reactionでp53 genotypeを判定する方法を確立した。 3.日本クレアより購入したB6/J雄総計128匹を用いてp53(+/-)の雄との交配を行い,193匹の仔を得た。内訳はp53(+/-)雄83匹,p53(+/-)雌110匹であった.次のp53(+/-)の雌雄の交配を延べ164回行い,78匹が出産した.生存し経過を観察することの出来た仔のp53 genotypeは(+/+)73匹,(+/-)80匹,(-/-)10匹であった.妊娠を確認した雌に対しては,妊娠14-19日目にエチルニトロソウレア25または75mg/kgを腹腔内に投与して出産させた.P53(+/-)およびp53(-/-)の固体関しては最大1年まで観察し,死亡した固体については直ちに脳を取りだしてホルマリン固定パラフィン包埋を行い,切片を鏡検した,p53(+/-)の3匹(4%),p53(-/-)の1匹(10%)に脳腫瘍の発生を認める事が出来た. 4.4例の脳腫瘍のうち1例は神経鞘腫と考えられた,少ない例数ではあるが,神経鞘腫よりも神経膠腫が,p53(+/-)よりもp53(-/-)固体の方が早く脳腫瘍を発生する傾向が示唆された. 5.さらに研究を進めていくためには,脳腫瘍の発生率を上げる必要がある.
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