研究概要 |
骨折治癒に伴う骨の弾性率の変化を利用した振動解析による骨折治癒診断を行うこと,また同装置を用いた診断システムを開発することを本研究の目的とした.δパルス波を用いたタッピング法が過去に幾つか報告されているが,その荷重方法の問題点を改善するために本研究では1〜200Hgのsin波を0.5Hgでスイープさせた波形を入力波とし,兎骨と遠位部を励振させた.振動は横波とした。同膝関節近位端に加速度センサを装置させ、伝達された振動波形をFFT解析した.骨折モデルとして〓骨中央部のみを5%、蟻酸で脱灰し,浸潰時間に応じて治癒過程のモデルとした.0時間(脱灰前),6,18,24,48時間の5段階で同一骨を用いて検査した。また,同骨のソフテックス写真から脱灰の程度を画像解析した.(結果)脱灰前では120Hg,6時間脱灰骨では114Hg,18時間脱灰では103Hg,24時間脱灰では85Hg,48時間脱灰では20Hgに共振同波数が観測された.一方、脱灰の程度はソフテックス(軟X線写真)の濃度を計測することによって定量化した.脱灰前の骨を基準にすると,6時間浸潰骨は25.6%,18時間で28.9%,24時間で30.4%,48時間で41.8%の脱灰が認められた.(本検査法のメリット)タッピング法ではδ関数波形を利用するため,理論上は0から∞Hgの全周波数成分数が確保されるはずであるが,現実には周波数成分の強弱が制御できず,従って検者が常に同じ状態でタッピングできるとは限らない.操作方法による人的誤差が大きく,診断精度に少なからず影響する. 本研究で用いた励振法は検査周波数領域のみの振動で,しかも振動強度を均一にすることができる.(今後の課題)生体で振動を検出するには悲観辺的でなければならず、皮膚を介して振動を検出することになる.その影響は診断精度に影響するので,実験の診断能力を現在の方法と照らし合わせて検討する必要がある.
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