研究概要 |
1. うさぎ関節軟骨組織欠損モデルを作成し,採取した軟骨組織にメカニカルストレス(5kg/0.25cm^2×10分間)を加えたところ,関節軟骨組織よりスーパーオキシドと一酸化窒素放出が増加(術後1日〜3週)した.術後4週以降は低下したものの,術後8週の組織染色で関節破壊を来たしていた.欠損部に同日自己肋軟骨細胞移植を行うと,欠損を作成しなかった対照と同様に,これらのガスメディエーター放出は抑制され関節破壊を来たさなかった. 2. ヒト膝関節軟骨で,切断肢対照と比較し変形性関節症では線溶系因子中urokinase type plasminogen activator(uPA)とmatrix metalloprotease中MMP-1,3が増加し,それぞれのインヒビターであるPAI-1,TIMP-1は低下していた.上記(1)と同様にメカニカルストレスを加えたところ,uPA,PAI-1の増加を示した.変形性関節症において部位別で解析すると荷重部ではuPAの増加率が対照の約2倍と高いのに対し,骨棘部では対照より約70%に低下していた. 3. メカニカルストレスによる軟骨組織中諸因子の放出は,高分子ヒアルロン酸により抑制され,分子量別による作用は180万の方が80万よりも強いことを示した. 4. 関節症の進展にはガスメディエーターと線溶系因子が関与し,高分子ヒアルロン酸による諸因子の抑制効果は,関節症の進展を予防する可能性がある.
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