研究課題/領域番号 |
09671581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊吹 京秀 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90232587)
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研究分担者 |
原田 優人 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20260797)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 疼痛 / 細胞内情報伝達 / アロディニア / GABA / グリシン / 痛覚過敏 / Spinal dorsal horn / ニューロパチー / 疼覚 / 情報伝達系 |
研究概要 |
慢性坐骨神経紘約モデルにおいて、痛覚過敏とアロディニアの経時的な変化を定量的に評価した。同時に脊髄後角表層のGABA免疫陽性神経細胞および線維、終末の経時的変化も定量化したが、特にアロディニアの消長とGABA免疫陽性抑制性神経成分の変化の間に強い相関関係が観察された。すなわち、神経損傷3日後より損傷側においてGABA免疫陽性神経細胞と線維が減少し始め、その後3-5週間まで両側において免疫陽性成分はほとんど消失した。対側では、約7週間後にはGABA免疫陽性神経成分はほぼ正常のレベルに回復したが、損傷側では、回復は不完全であった。また、この時間経過は、いわゆる‘dark neuron'の出現経過とよく一致した。脊髄神経結紮モデルにおいては、結紮3日後に、両側性にGABA免疫陽性神経成分のわずかな減弱が認められ、1週間後には更に進行し少なくとも3週間この変化は持続した。3週目頃より回復の兆候が見られた。グリシン免疫陽性神経成分は神経損傷1週間後から減少したが、その後の経過はGABAに類似していた。これらの結果より、ニューロパチー発症メカニズムとして、脊髄における脆弱な抑制性介在神経の一時的な機能不全が強く示唆された。この変化が一時的な神経伝達物質産生のダウンレギュレーションによるものか、部分的な神経細胞死によるものか、あるいはそれらの両方の因子が関与するものかは現在、免疫組織化学的、分子生物学的手法を用いて検索中である。神経栄養因子の一つであるサボシンをこれらニューロパチーモデルに投与したが、特にアロディニアに対し著明な治療的効果が認められた。さらに、神経栄養因子を豊富に含有する副腎髄質をニューロパチー動物の脊髄クモ膜下腔に移植すると、GABA免疫陽性神経成分の回復もアロディニアの回復も顕著に促進された。これらより、神経栄養因子による、慢性難治性疼痛に対する画期的な治療法としての可能性が大いに期待される。
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